2006-01-01から1年間の記事一覧

鬼平犯科帳8/池波正太郎

ISBN:4167142600 鬼平8冊目。「用心棒」「明神の次郎吉」は鬼平らしいイイ話。よしよし、という感じ。西の盗賊に陥れられる話はなんだっけ、やたら同心の身内が殺されるのがなあ。まあとにかく兇賊の簡単な描写として「一家皆殺し」みたいなことよく出てき…

千尋の闇 /ロバート・ゴダード 訳 幸田敦子

読み始めたら止まらなくなる本、という括りで取り上げられてたので興味を持って購入。1997年の文庫翻訳ミステリー作家評論家が選んだベスト1、でもあるらしい。 失業中だった歴史学者が、1900年初頭のイギリス政界に絡んで起きた事件を解き明かしていく物語…

京都 吉田屋料理店/吉田裕子

京都へ行くたびに泊めていただいたり、ご案内いただいたりするmakiさんというお友達がいます。そのmakiさんがここ最近毎回連れて行ってくださるのが、makiさんちから歩いてすぐの、この「吉田屋料理店」。でした。 木造の町家を改装したお店は狭い狭い路地の…

鬼平犯科帳7/池波正太郎

ISBN:4167142597 ↑はてなの引用システムを使っているのですが、同じシリーズでも画像があったりなかったりするのだな? 7巻はあまり印象に残る話がなかったなあ。多少溜飲が下がる感じなのは「はさみ撃ち」か。好々爺になってる元盗賊の家に間男…実は盗賊が…

鬼平犯科帳6/池波正太郎

6冊目。 この本では「大川の隠居」というはなしが好きでした。既に引退した、年老いた盗賊が、腕試しに鬼平のとこから煙管を盗んで…。最後は平蔵に諫められるのですが、「とっつぁん」と呼びかける平蔵がとぼけていて暖かいんだわ。 「狐火」では、これでお…

スコットくん/フジモトマサル

前に大絶賛だった「長めのいい部屋」の方の文庫化新刊を発見。迷わず購入。(かわいいので文庫化される前らしい絵本の方をリンクしています) (長めのいい部屋読書記録→)http://d.hatena.ne.jp/ka_ya/20050821/p1 最近自分で買う「漫画」はこれか猫村さん…

鬼平犯科帳5/池波正太郎

4巻まで読んで止まっていた鬼平再開?です。ああ一日一冊ペースになるな。この本は。あっという間に読めるのですがオモシロイのだよなあ。 読む前の印象では、鬼平こと長谷川平蔵はもっとえらそうな人物だったのですが、本の中では庶民的、出来たお方ですが…

続 明暗/水村美苗

ISBN:4101338116 夏目漱石の絶筆「明暗」のつづきを書いて完結させてしまった作品。なんせ漱石である。作者本人も批判はもとより覚悟の上で、自らが愛し、読みたかった「明暗」を仕上げている。 これを手に取ったのは、本格小説、私小説と読んだ水村美苗に興…

からだの設計図/岡田節人

ISBN:4004303583 岩波新書。副題は「プラナリアからヒトまで」。発生生物学と呼ばれる学問の紹介書。プラナリア。あのにょろんとしたなめくじきのこみたいなやつ、あとトカゲのしっぽなんかの「再生」に関する話からはじまり、「発生」のメカニズムをのっと…

日本沈没/小松左京

1973年の出版当時、上下巻あわせて400万部売れたという本。大規模な地殻変動により、日本列島が古代伝説のアトランティスのように沈む、という話。学者が頭脳を振り絞り、政府が頭を抱え、技術者が酷使され、密かに海外への交渉が続けられ、対立があり、仮説…

ウランバーナの森/奥田英朗

奥田英朗3冊目。これは…なんと言ったらいいのやら。フィクションである。でも設定は、ある。主人公は「ジョン」という名で、リヴァプール出身。ちょっと前までは世界的なポップスターだった。今は、日本人の妻「ケイコ」の実家が軽井沢に持つ別荘に来ている…

大槻ケンヂのお蔵出し 帰ってきたのほほんレア・トラックス/大槻ケンヂ

お借りした一冊。中身は「まえがき」に全部書いてある。エッセイ、対談、なぜか写真、人生相談、ライブ中の即興詩。本人いわくの闇鍋本。まあそんな感じでした。エッセイは「これ、マニアックすぎんなー」か「エッ?俺、そんなの書いていたっけ。忘れてた」…

都市の鍼治療 元クリチバ市長の都市再生術/ジャイメ・レルネル 訳 中村ひとし・服部圭郎

以前、ブラジルの都市クリチバの都市計画本を絶賛したのですが、 http://d.hatena.ne.jp/ka_ya/20051124/p1 その立役者の元市長が書いた一冊。原題 Acupuntura urbana。 39章に分かれた短い文で、つれづれに都市に関するテーマを取り上げて行く。市場であっ…

ダ・ヴィンチ・コード/ダン・ブラウン 訳 越前敏弥

文庫は上中下で3巻ですが一応上巻のリンクを→ 一日一冊読んで三日で読了してしまいました。ワタシとしては面白かった。宗教要素が主体の暗号解読モノ。歴史モノでもあるかな。そしてミステリーと。テンポがよく、読者を置いていかない構成で楽しめる。事件…

リセット/北村薫

スキップ、ターンと来てこのリセット、で三部作完結らしい。三部作と言ってもそれぞれ関わりのある話ではなく、ただ、一貫したテーマが「時と人」であるというシリーズ。巻末に宮部みゆきと北村薫の対談が収録されていて、そこで宮部が語っているのだけど、…

イン・ザ・プール/奥田英朗

映画の予告編を見て興味を持ったときに、何編か立ち読みしていた本の文庫を購入。友人(id:maschineさん)がオモシロイと云ってたのもあり。 精神科医伊良部のもとを訪れるさまざまな患者ごとに一編ずつの短編集。患者側の一人称で書かれるので、語り手は変…

トーベ・ヤンソン短篇集/トーベ・ヤンソン 訳 冨原眞弓

ムーミンの作者として世界的に著名なヤンソンの短編集。さまざま、色とりどりのものが集めてあるので一概に感想を述べづらいけれど、最初の「夏について」の一連と、「旅」あたりからの後半は素晴らしく良かった。途中「創作」の一連の中途半端に硬質な感じ…

わんわんワールド

http://world.hatelabo.jp/全然読書と関係ないのですが、はてなを使ってるのがここなのでメモ。はてなのidで遊べる。 特に目的なく自宅(千葉)あたりをさまよってみたり、大学の近く(神楽坂)あたりをうろうろしたり、人(犬)が多い渋谷近辺に行ってみた…

オシムの言葉―フィールドの向こうに人生が見える/木村元彦

WBCで盛り上がった舌の根も乾かぬうちにサッカーかよ。ですがこの本、友人三人から薦められた珍しい一冊でして、そのうちの一人である貸してくれた後輩が、もう就職しちゃうので、早く読み終えねば…と手をつけたら一気読みでした。(二人目は建築仲間のサッ…

体力の衰え

今月あまり読書が進んでいないのは、大学研究室の引っ越しによる肉体労働が多かったためかと思われます。くたびれちゃって、電車で活字を追えないのだよね。。。そろそろ復活予定です。今日は鞄に読み終えた「文書読本」とこれから読む本と、さっき買った本…

文章読本/谷崎潤一郎

タニザキが語る文章論。小説に限った話ではなく、日本語で文章を書くことに主眼を置いて、さまざまな引用(源氏物語、更級日記、城の崎にて、即興詩人etc.)を交えながら上達法や用語、調子、文体、体裁、品格そして含蓄…と項目を取り上げていく。丁寧な口語…

東京下町殺人暮色/宮部みゆき

ISBN:4334719449 宮部みゆきの現代もの推理小説、ということでさらさら一気読みでした。中学生の少年が主人公で、父親は刑事で、ツワモノなおばあちゃん家政婦さんとか、町会長の息子である親友との少年探偵団ごっことか。舞台は東京深川。展開は軽めです。…

遊覧日記/武田百合子

ISBN:4480026843 武田さんが、娘の花さん(文中では「H」)を連れて、ふらりふらりと出かけた様子を綴ったエッセイ。写真を花さんが撮っている。代々木公園だったり、不忍池だったり、花屋敷だったり、京都まで足を運んだり。 隅田川で桜を見る話。きっかけ…

貧乏サヴァラン/森茉莉

「サヴァラン」はフランスの美食家の名前ブリア=サヴァランから。グルメ…いえ、くいしんぼうであり、家事はひたすらに不得手だけど料理だけはする森茉莉の、食に関するエッセイを集めたもの。 フランスでの贅沢生活の話、森家での話、結婚時代の山田家での食…

空飛ぶ馬/北村薫

落語家円紫さんと女子大生の「私」が、遭遇する不思議な出来事・謎を推理して解き明かす、という形式の短編集。今これを書き始めて、はっ、と気付いて慌ててページをめくり直したのだけれど、この女子大生、名前がないや。大学教授との会話、円紫さんとの会…

私小説 from left to right/水村美苗

最大の特徴は「横書き小説」であるということ。最近どっかの怪しいワカモノ向け作家もやっていたけど、こちらはとにかく英文混じりの文章なので必然的にこうなっている。いや、英文混じりの日本語で書くこと、を強い思いで選択したことは、読んでみるとよく…

雪屋のロッスさん/いしいしんじ

いろいろな職業につく人やモノが主人公の短編が…いくつあるんだ?ええと30篇。「調律師のるみ子さん」だとか「床屋の国吉さん」だとかの、ある程度想像つく職から、表題作「雪屋のロッスさん」だったり「犬散歩のドギーさん」だったり謎めいたものまで、もし…

鬼平犯科帳(四)/池波正太郎

ああとうとう4巻まで読んでしまった。弟には、「こっちくる用事ないの?なかったらもう着払いでいいので残りを送ってくれ」と連絡中です… 先週金曜日に、実は久々のドラマ版「鬼平」が放送されたらしく、ファンの間ではその話題持ちきりの様子。せっかくそ…

鬼平犯科帳(三)/池波正太郎

なぜか今回は画像があったぞ。 鬼平、やばい。面白い。しかもすごく読みやすい。一日一冊行けてしまいます。手元にはあと一冊しかないというのに…(残りの巻は弟が所有)。鬼の平蔵、今回はお役目を解かれて京都奈良へ旅をします。そこでまた事件に遭うので…

沖で待つ/絲山秋子(文藝春秋で)

絲山さん、たまに新聞にエッセイが載っていて、それは結構好きだった。なんか小さいことを書いているのだ。ちまちましたことを。でもあまり女々しくないというのが良かった。 小説は初めて読んだ。良くも悪くもかなり淡々。その淡さが独特、ってとこまで行っ…