2007-10-01から1ヶ月間の記事一覧

黄色い目の魚/佐藤多佳子

ある男の子とある女の子の、それぞれの子供の頃の出来事、成長する過程、そして高校生になって同級生となるふたりが、それぞれの視点でランダムに描き出される一冊。両親が離婚している彼、イラストレーターの叔父を持つ強情っぱりな彼女が、「絵」をきっか…

残虐記/桐野夏生

少女拉致監禁事件を題材にした小説。重たいのはわかっていて、覚悟を決めて取りかかったけれど、最近軽い読み物ばっかりだったからなあ…短いけれど、ずんときた。監禁事件の被害者であった少女が大人になって書いている手記のかたちを借り、その前後に注釈的…

パレード/川上弘美

傑作(とワタシは思っている)(てゆうか単に好きなだけか)「センセイの鞄」の続編…というかサイドストーリー…ツキコさんとセンセイが、普通に暮らしていたときの、ある日ある昼下がりの出来事を、そこだけ切り取りました、という超短編。(職場に行くのに…

米原万里の「愛の法則」/米原万里

タイトルが悪い気がするけど、しょうがないのかな。米原万里さんの、晩年の講演3つかな?をまとめたもの。「不実な美女か貞淑な醜女か」なんて2冊も同じの買っちゃうくらい(単純に間違えた)読みまくっていた(たとえとしても間違い)米原さん。新聞のコ…

ゴールデン・マン/フィリップ・K・ディック 浅倉久志・他訳

ディック傑作集3。「リターン・マッチ」、ほんと、筋が読めるのにどうしてこんなに面白いのかしら。「小さな黒い箱」を読んで、あれ、このマーサー教の話、どこかで読んだぞ?と。ワタシが唯一、くらいで読んだことあった「アンドロイドは電気羊の夢を見る…

時間飛行士へのささやかな贈物/フィリップ・K・ディック 浅倉久志・他訳

ディック傑作集2。SFハマリ、まだ続いております。ディックおもしろいー。 冒頭の「父に似たもの」から、ありがちなんだけど、わかってるんだけど、引き込まれるんだわ、これが。突飛な設定は確かにSFなのだけれど、中身は面白すぎる「小説」で、登場人物が…

アサッテの人/諏訪哲史

そういえば文藝春秋で読んだや、と思い出しメモ。今更ですが。 奇妙な言動をしだす叔父を甥である主人公が観察し、小説化したもの、という設定の小説。プロットのためのメモのようなものが、説明付きで繋がれる構成。叔父の話す奇妙な言葉は、あれは「吃音」…