2005-01-01から1年間の記事一覧

十角館の殺人/綾辻行人

長編は初めて読む作家。年末を過ごすために、東京駅のBOOK GARDENでこれと水村美苗の「本格小説」を買いました。このまえの坂口安吾で、俄に推理小説熱が復活。帯に「BOOK GARDENオススメ」とあって「孤島の館で起こる事件の数々ー映像化不可能!!と言われる…

モロッコで断食(ラマダーン) 上・下/たかのてるこ

普通の会社員…の方の、学生最後の卒業旅行の旅行記、です。だから会社員(東映!)になる前の話。卒論を書き終えて一人で旅に出る。パリからスペイン、そしてモロッコ、サハラ砂漠。スペインで誕生日に着の身着のままでスキーをしたり、モロッコで襲われたり…

貴婦人Aの蘇生/小川洋子

久々の小川洋子。朝日文庫の新刊をふと手に取ったら、解説が藤森照信!思わず買ってしまいました(藤森照信:建築史家・建築家・破天荒な先生)。主要な登場人物は大学生の私、伯母のユリア…もしくは皇女アナスタシア、ボーイフレンドのニコ、剥製コレクター…

マドンナ/奥田英朗

単行本のときに結構褒められていて、気になってた一冊の文庫化。すべて40代のサラリーマンが主人公の短編5つ。異動してきた超好み!な部下にときめいたり、一匹狼な同期に悩んだり、子供の将来を心配したり、慣習化した癒着をどうにかしようとして大変だった…

ターン/北村薫

同じ一日を繰り返す話、なんだっけ…とググってみつけた本。交通事故に遭った主人公が、ある一日に閉じこめられてしまう。世界でただ一人だけ。来る日も来る日もひとりきり。ひゃー。読ませるんだけど、ある変化が起こるまでの数ヶ月というのは勿論毎日描写が…

走れ!タカハシ/村上龍

高橋慶彦。カープの名選手。そして今はロッテのコーチですよ!いえ、読むまで、そんな70〜80年代の名選手だったとは存じ上げませんでした。名前は聞いたことあるような…くらいで。しかし連続盗塁王とか33試合連続安打の日本記録とか、大活躍だったのですな。…

サマータイム/佐藤多佳子

先だって読んだ「しゃべれども しゃべれども」が面白かったので、デビュー作というのを手にとってみた。子供が主人公の短編集。あ、でも全部繋がってるお話。こういうの何て言うんだっけ?アンソロジー?小学生の僕。ひとつ上の美人でヒステリー気味な姉。片…

スキップ/北村薫

北村薫を読んだことがないと言ったワタシの誕生日祝いに、友人がくれました。筋書きだけは知っていた一冊。たくさん売れてたよね?本屋でよく見てたと思う。でもなんとなく未読だった作家さん。結論から言いますと、すごくよかった。面白かった。気持ちの良…

不連続殺人事件/坂口安吾

ISBN:4041100135 画像リンクがなかった。よかった。いや、手元に貸していただいたのは昭和62年発行第29刷なので、たぶん後になってこの表紙なのだと思うんだけど…。イヤな感じなんですよ。これが。すごい。貸してくれた人も「たぶんうちの本棚でも一二位を争…

四国はどこまで入れ換え可能か/佐藤雅彦

うわー。やってしまいました。新潮文庫「四国はどこまで入れ換え可能か」はマガジンハウス「ねっとのおやつ」の文庫化ですからー!よくよく見たら帯に「ねっとのおやつ 改め」って書いてありましたからー。 というわけでダブリ買いをしてしまった。よかった…

東京の話 地の巻/種村季弘 編

ISBN:4480021027 昭和初期の東京に関するいろんな人のエッセイや小説を集めたちくま文庫の一冊。復刊フェアだそうで、絶版だったのがまた出ているみたい。「上野・浅草」だったり「板・橋・川」だったりテーマや場所で括られた章立て。大正15年なんて時代の…

わたしとボサノバ

asin:B000BDJ4A8 今月はあまり本を読まなかった…というところで、これも本じゃないのですが。「わたしとボサノバ」というコンピレーションアルバム。選曲をしたBAR BOSSAの林さんという素敵なマスターさんが書かれた短編小説が、ジャケットについているので…

大人の科学マガジン vol.9

実は先週こいつが届いていた。どこもかしこも売り切れだったので、アマゾンで注文してずっと待たされていたのだ。さっき開けた。すごく組み立てたいのだがそんなことしてていいのか。いやいかんだろう。何かのはずみ?がないと手が付けられない気がします。…

人間都市クリチバ?環境・交通・福祉・土地利用を統合したまちづくり/服部圭郎

http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4761523395/249-4495103-7861134 学会関連のWGで先生方が「クリチバ面白いよね」と話題にしていたのが気になって、Yさんにお借りしました。クリチバは現在人口160万人ほどのブラジル南部の都市。勉強不足。今ま…

美女と野球/リリー・フランキー

およそ10年前のリリーさんのエッセイをまとめた一冊。電車の中で隣の人に覗き込まれたら、ページによっては「ひー」と赤面しそうな。いやページによってはというか85%くらいそんな(チン毛とか連呼…)。ほかバカタレントとバカ女子高生切って捨ててみたり。…

しゃべれども しゃべれども/佐藤多佳子

どこかの書評で絶賛されていたのを覚えていて、先日購入。面白かった。しっかりしていて丁寧で優しい小説。二つ目として頑張っている落語家、26歳の今昔亭三つ葉氏が主人公。他に主要人物はテニスコーチの従弟や、話し下手な美人や、大阪弁の小学生や、元野…

ドグラ・マグラ/夢野久作

時間かかりました…。文庫上下巻。そんなに長くはないはずなのに、流し読みが出来ないのですよ。ぐぅっと入り込んで、見失わないように注意深く。そしてまたスチャラカスチャラカ謡っていたり、事件記録だったり、古文書風だったり新聞記事抜粋だったりの文章…

うさぎ!/小沢健二(雑誌連載第一話)

何かというとワタシ的永遠の王子様小沢健二氏による連載の第一話。「子どもと昔話を愛する人たちの季刊誌」『子どもと昔話』/小澤昔ばなし研究所の秋号に掲載されております。短いです。連載だしな。丸い星の上、「貧しい国」(このお話しのころの世界では…

7月24日通り/吉田修一

あまり得意な作家じゃないのは相変わらず。ううーん。何が違うんだろうな。主人公は小さなまちに暮らす小さな会社勤めの独身女性。自分の住む町がリスボンに似てることに気付き、通りや停留場名、公園名をリスボンのそれになぞらえて空想を楽しむというか、…

人間腸詰/夢野久作

ISBN:4041366127 「腸詰」に「そうせえじ」とカナが振られています。うわー。これもまた短編集。これまた一人称。幾つかは書簡形式。表題作「人間腸詰」はありえない!と思いながらも引き込まれ、最後あたりで何やら想像してしまってゾゾゾ。「空を飛ぶパラ…

あやかしの鼓/夢野久作

ISBN:4041366119 怪奇幻想傑作選だそうで。いろいろ入ってましたが最初の「死後の恋」と表題作「あやかしの鼓」が秀逸。引き込まれた。少しおどろおどろしい描写もあるんだけれど、ホラーじゃなくて「怪奇幻想」なので大丈夫、という感じです。ロシア人女性…

問いつめられたパパとママの本/伊丹十三

中央公論社の編集者だった村松友規氏が依頼して始めた連載をまとめたという一冊。今までの多方面渡り歩きエッセイとは異なって、これは理科系読み物。表題通り、子供に「どうしてどうして?」と問いつめられたときのパパとママの答えが、これはとんちなどじ…

春の雪 映画化

たまたま、研究室の後輩が読んでいたので、キャストについて云々。妻夫木さんも竹内さんもワタシは嫌いじゃーないんですが、この話の主人公たちにはとにかく近寄りがたい高貴な気品をがんがんに醸し出して欲しいので、この2人だとちょっと「庶民派」過ぎる…

今年の発見

ふと。いやまだ終わってないけども今年。あと二ヶ月のうちにまた新たな発見があるかもしれないけど。発見、というよりは再発見なのか。世間様には充分既知なわけだしな。…ぶつぶつ言ってますが(ワタシの文章はいつもそうですが)、要は今年読んだ中でイイ!…

天国からの道/星新一

新潮の最近の星さん再発見3冊目。これまでの2冊より知ってる話が多かったような…。知ってるような気がしただけでしょうか。完全未収録だらけじゃないみたいだったし。星さんらしいショートショート数編、表題作は中篇かな。あとはちょっと趣の違う火星探索…

少女地獄/夢野久作

ISBN:4041366054 勘違いしてました。夢野久作という作家は、もっと最近の人なんだと思ってました。無知ですみません。そういえば、夢野久作を好きだと言ってた知り合いは、江戸川乱歩や坂口やら谷崎やらも好きだと言っていたなあ。そういうことかー。 という…

きょうの猫村さん/ほしよりこ

買ったら負けかな…。でもワタシの周りで買う人いなさそうだな…。どうすっかな…。と考えていたのですが大学生協にあったので買ってしまった。やるな。大学生協。←何が 面白かったです。猫村さん素晴らしい。うちにも来て。でも何巻まで出るんだろう。一巻を買…

シルエット/島本理生

で、文庫を発見したので読んでみました。うーんー。印象あまり変わらないかな。服装の描写が詳しかったり、モノローグのはじめと終わりで主語変わってんじゃん?という文章があったりとか、微妙なとこがひっかかってしまって、そうして淡々とした感情表現が…

ナラタージュ/島本理生

後輩さんに単行本で借りました。カタイ。文章が堅めで説明口調。というのがちょっと苦手だなあ。まどろっこしいのです。写実的というのとも違うんだよな。ワタシの趣味からするといらん描写が多い。話を紡ぐ力は感じるのだけれど、文体が好みじゃなかったで…

白いメリーさん/中島らも

短編集。らもさん。「永遠も半ばを過ぎて」を読んだときほどの興奮はなかったなあ。ううむ。でも上手だ。一編一編タイプの違う話がそれぞれうまくまとまってる感じがします。最初の「日の出通り商店街 いきいきデー」が意外にも大流血バイオレンスなので(タ…