ターン/北村薫

ターン (新潮文庫)
同じ一日を繰り返す話、なんだっけ…とググってみつけた本。交通事故に遭った主人公が、ある一日に閉じこめられてしまう。世界でただ一人だけ。来る日も来る日もひとりきり。ひゃー。読ませるんだけど、ある変化が起こるまでの数ヶ月というのは勿論毎日描写があるわけではないので、想像すると…無理無理っ。一人じゃ無理だ。いつ終わるかもわからない孤独なんて怖すぎる。何も残せない。というのが一番つらそう。字を書いても絵を描いても、その日のその時間になったら、くるりん、元に戻ってしまう。すべてが。自分の記憶の中にだけ、過ごした時間があるけれど、それは実際には無。
そんな世界に、ある日一本の電話が繋がって、そこから話は展開して行くのだけど。ああ、そんな電話の主にこちらの状況をどうやって伝えられるのか。妄想女子っぷりを発揮しますが、ワタシがこんな世界に陥ったら、そのときは電話の主に「北村薫のターンなの!読んで!」と主張するしかないでしょう。
面白かった。けどかなり特殊。「スキップ」の方がリアルに人間が描かれていたかな。「ターン」の森真希さんは結構特別な人の感じがします。泉さんも然り。