走れ!タカハシ/村上龍

走れ,タカハシ! (講談社文庫)
高橋慶彦カープの名選手。そして今はロッテのコーチですよ!いえ、読むまで、そんな70〜80年代の名選手だったとは存じ上げませんでした。名前は聞いたことあるような…くらいで。しかし連続盗塁王とか33試合連続安打の日本記録とか、大活躍だったのですな。スイッチヒッター。名ショート。いいねえ。短編のそれぞれに(これこそ「アンソロジー」か)、タカハシがホームラン打ったり盗塁決めたり凡退したりの野球観戦場面が出てくるのだけど、ワタシも知ってる「小早川」とか「山本浩二」からホエールズ(!)戦では「レオン」とか…野球好きは3倍くらい楽しめると思いますよ。広島ファンは10倍くらい。笑
短編それぞれの主人公はやりたがり高校生とか、引きこもり変態殺人犯とか、頭からっぽのハンサムとか、村上龍節のリアリティでがんがん攻めてくるのだけど、野球が入ると、空気が一瞬緩むの。いい方に。面白かったですよ、これ。芋づる式に妙なわらしべ長者みたいな物語のパート4、トラック運転手からおかまに転身というパート10、しっかり者高校生のパート11が特にすきだ。解説は吉本ばなな。楽しげ。