サマータイム/佐藤多佳子

サマータイム (新潮文庫)
先だって読んだ「しゃべれども しゃべれども」が面白かったので、デビュー作というのを手にとってみた。子供が主人公の短編集。あ、でも全部繋がってるお話。こういうの何て言うんだっけ?アンソロジー

小学生の僕。ひとつ上の美人でヒステリー気味な姉。片腕のないふたつ年上の少年と出会った夏の思い出。「サマータイム」はジャズピアニストである少年の母と少年が弾く曲。最初はそこから。他の話では姉が主人公になったり、片腕の少年が語り手になったり、数年たったり、振り返ってみたり、しています。「しゃべれども しゃべれども」と比べると登場人物が少なく、狭い世界での話なのだけど、閉ざされた感じはしない。囲っても、天井は突き抜けて広い空に繋がってるというか…そういう小説を書かれる作家さんなのだろう。人を描くのが上手だと思う。短くて一瞬で読み終えてしまいましたが、勿体ない気分。