あやかしの鼓/夢野久作

ISBN:4041366119
怪奇幻想傑作選だそうで。いろいろ入ってましたが最初の「死後の恋」と表題作「あやかしの鼓」が秀逸。引き込まれた。少しおどろおどろしい描写もあるんだけれど、ホラーじゃなくて「怪奇幻想」なので大丈夫、という感じです。ロシア人女性に語らせる「支那米の袋」なんていうのまで含め、書簡形式のものも語りのものも、とにかく一人称でぐんぐん引っ張って行くのがすごい。こういう書き方って破綻しがちな気がするんだけど、大丈夫なんだよなあ。「いなか、の、じけん」のような、ちょっと悲哀とブラックユーモア折り込み、みたいなものもあり。入門編としてちょうどよかった。
最近特に現代の作家ばかり読んでいたので忘れてたけど、この時代、好きなんだよな。うん。