7月24日通り/吉田修一

7月24日通り
あまり得意な作家じゃないのは相変わらず。ううーん。何が違うんだろうな。主人公は小さなまちに暮らす小さな会社勤めの独身女性。自分の住む町がリスボンに似てることに気付き、通りや停留場名、公園名をリスボンのそれになぞらえて空想を楽しむというか、思いこんで暮らすことにしている。7月24日通り、というのもそのリスボンの地名を充てたまちの通り。とりわけポルトガルに憧れがあるというわけでもなかったのだけど。彼女が生活の中で出会う勤務先の上司とその奥さん、高校時代の憧れの先輩、本屋で出逢う青年、自慢のハンサムな弟とその彼女…が主な登場人物で。大きな事件は起こらないまま(彼女的には大事件としても)小さな出来事を繋いで話は続く。ラストはどう終わるのかな、とは思わせる。何を選ぶのだろうかと。彼女はものすっごく有り体に言えば「殻を破った」ということになるのかな。
でもでもでもな。ワタシ、この主人公の女性が全く好きになれませんでした…。好みの問題とは思うんだけど。吉田修一は今のところ「パレード」だけだなあ、大丈夫だったの。