人間都市クリチバ?環境・交通・福祉・土地利用を統合したまちづくり/服部圭郎

http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4761523395/249-4495103-7861134
学会関連のWGで先生方が「クリチバ面白いよね」と話題にしていたのが気になって、Yさんにお借りしました。クリチバは現在人口160万人ほどのブラジル南部の都市。勉強不足。今まで知りませんでした。
1965年頃から計画されたマスタープランは、プラン策定の主要メンバーであったジャイメ・レルネル氏が市長に就任することで動き始める。確固たる理想を元に、都市の問題を見据えて、たぐいまれなる解決能力と行動力でそれを達成する勢いはすごいですよ。面白かった点だけ挙げてみます。長くなると思いますが。
たとえば最初に。世界はまさに自動車社会をどんどん突き進んでいる時代に、都市のどまんなかに歩行者天国を設ける。客足が鈍るという商店街の反対もなんのその。交通をシャットアウトして、72時間の突貫工事で舗装して。都市は車ではなく人間のためのものだから。それでも商店主たちが車の突入で対抗しようとした工事完了日に、市長は子供達に歩行者天国の地面いっぱいつかって絵を描かせるイベントを行う。そりゃー車は入れない。そうして一ヶ月もたったら、歩行者天国は人々で溢れ、憩いの場となり、客足はむしろ増大。商店主たちも甲を脱いで、歩行者天国をもっと広げてくれと頼むわけです。
たとえば次に。公共交通網を整備しなければ、というときに、バスを採用する。工費も工期も地下鉄と比べてはるかに安価だ。そして渋滞でも過疎地域でもちゃんと機能するように、道路にバス専用レーンを設け、運営会社には乗客数ではなく走行距離に応じた報酬を市が払う。
木を1本切ったら2本植えなくちゃいけない。芝生の公園の管理が大変になったときに、羊を飼うことにした(食べさせることで芝刈り)。緑地保全や、社会住宅開発、また歴史的建造物保護の見返りには、幅広い開発権移転制度を用いている。
ごみの分別は、まず子供にその大切さを理解してもらうこと、小学校での教育から始めた。日本での「燃えるごみと燃えないごみ」分別ではなく「ごみと、ごみではないごみ」という考え方。リサイクルすればごみでなくなるという、効用をわかる形で教えること。市民との信頼関係を築くために、ごみ収集車は決して時間に遅れずにやってくること(遅れるくらいなら自分が行けといわれた環境局長)。スラム街では、分別ごみとバスチケット、野菜の交換システムを作ることで、住民が自発的にごみの分別を行い、衛生改善に結びつけることができつつあったり。
etc.etc....
まだまだあるんですが。
本はとてもわかりやすいので、さらさらと読めます。勿論今後の問題点も取り上げている。まだまだ発展途上の都市ではあるらしい。傑出した指導者による都市計画とその遂行、日本では帯広の例が挙がっていました。ほかアメリカのポートランド、ドイツのシュツットガルト。計画だけなら、東京でもワタシがやってる関東大震災の帝都復興計画だとか、その後の戦災復興計画だとか、評価されたものもあったけれど、それらは実現していない(完全な形とは程遠い)。クリチバではなぜ出来たのだろう。東京はなんでこういう形に発展してきたんだろう。クリチバはここ40年で頑張ってるわけで。都市計画と市民の距離がクリチバはとても近いみたいだ。東京ではなんだか遠いよなあ。

長いなあ。そして結局自分でも買ってしまいました。この本。読みたい方お貸しします。