東京の話 地の巻/種村季弘 編

ISBN:4480021027
昭和初期の東京に関するいろんな人のエッセイや小説を集めたちくま文庫の一冊。復刊フェアだそうで、絶版だったのがまた出ているみたい。「上野・浅草」だったり「板・橋・川」だったりテーマや場所で括られた章立て。大正15年なんて時代の文章から、新しくて昭和60年くらいまで、坂口安吾三島由紀夫から不勉強で知らない人もありつつ、つげ義春だとか赤瀬川源平まで。いろんな方の、さまざまな「東京」。単純に、こういうの好きなのでとても面白く読み。天の巻、人の巻というのもあるらしいので、読みたいと思います。
「恐れ入谷の鬼子母神」てのは聞いたことがあったけど、「そうで有馬の水天宮」てのは初めて知りました(高見順「麻布の思い出」より)。むかし水天宮は有馬家の屋敷地にあったのだというのは知ってたのだけど。ちょうどそのへんの地域で論文を書いている後輩に見せて、二人でちょっと感心。