黄色い目の魚/佐藤多佳子

ある男の子とある女の子の、それぞれの子供の頃の出来事、成長する過程、そして高校生になって同級生となるふたりが、それぞれの視点でランダムに描き出される一冊。両親が離婚している彼、イラストレーターの叔父を持つ強情っぱりな彼女が、「絵」をきっかけに繋がって、それでもそれぞれ手探りで、不器用で、傷つけ合って。甘酸っぱいというより、もっとリアルにひりひりする感じだ。こうして書いてると、ほんと陳腐で、我ながら下手くそな説明をしている気がしますが…本読んで、ここまで高校時代が懐かしい&ちょっと戻りたくなったのは初めてかもしれないよ。
かなり小さな世界の出来事だけなのだけど、この人、やっぱりうまいなあ、と思う。脇役すみずみまでほんとに見事に描ききってるところがすごい。どうでもいい人が出てこないもの。「一瞬の風になれ」もはやく文庫になってほしい。。。

黄色い目の魚 (新潮文庫)

黄色い目の魚 (新潮文庫)