2006-01-01から1年間の記事一覧

もの思う葦/太宰治

太宰治の随筆というのは全集以外にはあまり取り上げられていないそうで、これは解説をしている奥野健雄という人が編んだ文庫随筆集。さまざまな媒体に発表したこまかい随筆や、井伏鱒二の全集発刊に寄せた編者としての文章、そして戦後の「文壇」の連中に激…

鬼平犯科帳18/池波正太郎

新装版 鬼平犯科帳 (18) (文春文庫) 今月なぜだか読書が進んでおりませぬ。そんなときは鬼平。←? 前巻の長編の最中起こっていた事件を短編で…ということで、権兵衛酒屋に詰めてた五郎蔵とおまさはあまり出てこない18巻。新同心キャラ細川ってのが、緊迫して…

ボクの音楽武者修行/小澤征爾

1961年、26歳の小澤征爾が綴った、ヨーロッパ・アメリカでのまさに「武者修行」の記録。滞在先から日本へ送った数々の手紙と、その間を埋める文章で構成される。数々のコンクールを総なめにしてステップアップしていく部分だけを見たら、まさしく天才!とも…

この季節がやってきた

今月はあまり読書が進んでおりません…。今更ジロー(古語)、と思いながら論文執筆に足りない専門書を読んでいたりします。 ものすごく久しぶりにこのサイトのアクセス解析結果を見てみたら、今年の夏もやっぱり突然増える「読書感想文」+「書名」での検索…

夢みるピーターの七つの冒険/イアン・マーキュアン 訳 真野泰

空想好きな少年ピーターの身に起こった(?)ことを綴る七つの短編。どこまで空想でどこまで現実なんだか…。第一章の前に「ピーターはこんな子供」というのが説明される。本人はいたって普通のつもり…でいたのだけれど、オトナたちの反応を幾つか学習して、…

ぐるぐるまわるすべり台/中村航

表題作のあらすじ 「僕は大学を辞め、塾講師をする傍ら、バンドのメンバーを募集した。“熱くてクール、馬鹿でクレバー。最高にして最低なメンバーを大募集”そんなうたい文句に集まったロックな面々。ボーカル志望の中浜に自らの分身を見た瞬間、僕の中で新た…

蠅の王/ウィリアム・ゴールディング 訳 平井正穂

「十五少年漂流記」よりコレだ、という話しをいつかどこかで聞いていた。1968年集英社の世界文学全集に収められた小説。位置づけがわかっていなかったので、検索をかけてみると、世界的には「蠅の王」は「十五少年漂流記」よりも「珊瑚島」「燕号とアマゾン…

鬼平犯科帳 16、17/池波正太郎

ISBN:4167142686 ISBN:4167142694 16巻 木村忠吾がようやく身を固めます。同心の娘「おたか」との婚前の様子と新婚ぶりが出てくる。ちょっとしっかりしたと思ったら、すっかりのぼせあがってる描写で、こういうキャラなのだなあ。と。あとはあまり印象に残る…

陰の季節/横山秀夫

横山秀夫をもっと読みたい、と購入。これはまた異色警察小説。刑事事件の捜査ではなくて、警察という組織の管理部門に属する人物を主役にした短編集。人事であったり、監察であったり、議会対策であったり。特殊な世界での出世争いや足の引っ張り合いが、き…

オーデュボンの祈り/伊坂幸太郎

難しい…。感想が。8割あたりまで読んだ段階では、駄目だー、と思ってた。鎖国同然の仙台沖の島・喋るカカシという設定は突飛だし、何より、登場人物に「気持ちよい人間」が出てこないのだ(魅力あるのは草薙の嫁の百合とうさぎくらいか)。主人公がスーパー…

第三の時効/横山秀夫

「半落ち」「クライマーズ・ハイ」で止められず一気読みをした作家さんの短編集が文庫になっていたので迷わず。期待に違わずかなり面白かったです。迫力のある警察小説。F県警捜査一課(だったけな?手元に本がない。あまりに面白かったので父に貸した)を…

読書と全然関係ないのですが

ワタクシ、趣味でウクレレを弾くのです。 でー。はてなの「ウクレレ記法」 http://d.hatena.ne.jp/hatenadiary/20060707/1152249195 なんですかこれー!すごいなあ。 試してみよう。

きょうも、いいネコに出会えた/文・写真 岩合光昭

動物写真家岩合氏が日本全国行脚して撮った日本の猫の写真と、簡単な文章。文庫でフルカラーです。文庫だから、写真は小さいし、けっこう引き気味の画が多いので、ものたりないかも…と思ったのだけれど、ページをめくっているうちに日本のまちの猫たちから目…

鬼平犯科帳 13、14、15/池波正太郎

ISBN:4167142325 ISBN:4167142333 次何を読もうか迷う間に鬼平3冊。 13巻 「墨つぼの孫八」は何やら可哀想な話。「春雪」はあまりおもろくなかった。「一本眉」は木村忠吾が、一本眉の盗人に気のいい浪人と気に入られたりする。悪い盗賊やっつけちゃうし。…

重力ピエロ/伊坂幸太郎

伊坂幸太郎2冊目。面白かった。話しを紡ぐ力のある作家さんだと思う。もっと読みたいと思う。…でもその一方で、ところどころ気になるとこも。 重力ピエロ、は物語の主役となる僕と弟の春の兄弟が、幼い頃両親と出かけたサーカスで見たピエロの空中ブランコ…

海のふた/よしもとばなな

読売新聞で連載していた話。連載時はとびとびにしか読んでいなかったけれど、一時期鼻について苦手だったスピリチュアルな空気はなさそうだったので、手に取った。 美大を出て、西伊豆の故郷に戻って、かき氷屋を開く私:「まり」が主人公。ある理由で、母の…

シルトの岸辺/ジュリアン・グラック 訳 安藤元雄

読み終わるのに珍しく3週間くらいかかった。都市史の大先生が絶賛していたので手をつけてみたものの…。フランス近現代文学。架空の時代の架空の国オルセンナ。海を隔てた国ファルゲスタンとは300年にわたる暗黙の停戦状態。その前線シルトに監察将校として…

神々の食/池澤夏樹  写真 垂見健吾

池澤夏樹が沖縄で暮らしていた頃、飛行機の機内誌で連載していた沖縄の「食」に関するエッセイ。ハワイ、沖縄、と移住して、そのあとヨーロッパに住んだりしている池澤さんは、その土地に謙虚に臨む。言葉や風習について新参者が語るのはおこがましいけれど…

鬼平犯科帳12/池波正太郎

ISBN:4167142643 そして合間に鬼平を読む。最近更に江戸〜明治の地名に詳しいので、読んでると頭に地図が浮かびますよ。 この巻で記憶に残るのは「密偵たちの宴」が一番かな。さんざん大活躍の密偵たちが集まって、むかしの盗み(おつとめ)の思い出話をして…

すーちゃん/益田ミリ

本屋でなんとなく立ち読みして…つい買ってしまった。益田ミリという人がつついてくる自分の中の微妙なツボみたいなものは万人受けするものなのかわからない。 主人公すーちゃんは30代未婚子なし負け犬のカフェ店員で、友人まいちゃんは美人だけど同じ境遇の…

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この独白↑とかそういうのね。ジャンルを分けて見られる、というの。 それをやってみようかと思ったのだけど、今までのログ全部直すのはたぶん無理そうだよな。というわけでやりかけてみたが…どうするか未定。ものすごく中途半端な思いつきで手をつけてみて投…

嵐が丘/エミリー・ブロンテ 訳 鴻巣友季子

水村美苗の「本格小説」を読んで↓これは再読したいな、と思った「嵐が丘」。 http://d.hatena.ne.jp/ka_ya/20060115/p1 近年になって新訳がふたつ出ているのですが、岩波の方は上下巻。つい一冊ものの新潮文庫で入手。鴻巣さんという訳者の方を、友人が知っ…

きょうの猫村さん 2/ほしのよりこ

昨日発売だったのですが本屋に行く暇もなく。本日大学近くの本屋に行ったら売り切れ。ええー!と、その後はしごはしごで、なんと5軒目にてようやく発見。猫村さん人気にびっくりですよ。予約限定のスペシャルバージョン本もあったみたいですね。いやもう。…

吉行淳之介エッセイ・コレクション1 紳士/吉行淳之介 ・編 荻原魚雷

ヨシユキさんのエッセイ集。これは「紳士」編だということで、主にお酒の席でのたしなみだとか、麻雀の話だとか、ファッションの話だとか。この方ならではの奔放な遊びぶりとダンディズム(この言葉についても面白い話がひとつ)が小気味よい筆致で描かれて…

星の王子さま/サンテグジュペリ 新訳・池澤夏樹

うちには岩波少年文庫の内藤濯さん訳の「星の王子さま」がある。1985年の第54刷。繰り返し読んだからかなりぼろぼろ。そんな本、あえて新訳を読みたかったのは、やはり池澤夏樹という作家がとても気に入っているから。 結論としては、とてもいいですよ。幾度…

チェーザレ・ボルジアあるいは優雅なる冷酷/塩野七生

塩野七生2冊目。この方は史実に基づいた壮大な「小説」を書かれるのだと勝手に解釈していましたが、この本はかなり「歴史書」で「伝記」的要素が強い。ルネサンス期のイタリアにおいて「優雅なる冷酷」を体現した野望あふれる若者チェーザレ・ボルジアの壮…

鬼平犯科帳10/池波正太郎

ISBN:4167142619 彦十がむかしなじみの盗賊の身の上話に騙されそうになる「むかしなじみ」だとかお熊ばあさんが活躍の「お熊と茂平」だとか。じいさんばあさんの活躍が爽快です。 彦十がお熊をののしる?ときの台詞が「腐れ鰯の骨婆ぁめ!」ってのがすごいよ…

鬼平犯科帳11/池波正太郎

ISBN:4167142627 連続。この巻はもうこれだ「男色一本饂飩」。 同心・うさぎこと木村忠吾が男色の悪漢に惚れられるのですが。「男色一本饂飩」て。池波さんなんだかすごいタイトルつけるなあ。なんかうどん食べたら思い出しそうよ。いや、そういう描写はない…

鬼平犯科帳9/池波正太郎

ISBN:4167142619 鬼平だらけですみません。頭使わずに読めるのですもの…。 この巻ではあれです、「鯉肝のお里」でおまさと五郎蔵が結ばれます。「こんなことになろうとは…」という描写がおかしかった。でもいいんじゃないでしょうか。いつもと趣向が違って面…

徹夜するほど面白かった小説を教えてください

5/2の記録の「千尋の闇」というのは これ↓ を見て興味を持ちました。参考にするつもり。http://q.hatena.ne.jp/1141226898