オシムの言葉―フィールドの向こうに人生が見える/木村元彦

オシムの言葉 フィールドの向こうに人生が見える
WBCで盛り上がった舌の根も乾かぬうちにサッカーかよ。ですがこの本、友人三人から薦められた珍しい一冊でして、そのうちの一人である貸してくれた後輩が、もう就職しちゃうので、早く読み終えねば…と手をつけたら一気読みでした。(二人目は建築仲間のサッカーファン女子)。
去年までのワタシレベルの方向けに説明すると、イビツァ・オシムとは現在Jリーグのジェフ千葉というチームの監督を務めている人物です。旧ユーゴスラビアの代表監督をはじめ世界各地のクラブチーム監督を歴任した世界の名匠と呼ばれる人物で、その監督としての手腕、知性にあふれた言葉に多くの賛辞が送られている、と。そうして実際、ジェフ千葉オシムの就任以来躍進し、昨年Jリーグ開始以来初めてのタイトル(ナビスコカップ優勝)まで獲得しています。
サッカーに関しては殆ど知識がないくせに気になっていたのは、薦めてくれた三人目:ジェフ千葉担当のスポーツ新聞記者であった友人の話から。彼は、野球担当から突然サッカー担当に回されて、まだまだ不慣れでわからないことだらけだった中でジェフの担当となったそうなんですが。あるとき、オシム監督に不勉強な質問をしたんだか、自分の不勉強を詫びたのだかをしたら、「君は僕と同様にもう少しサッカーを勉強しなければならないね」と言われたのだと。世界の名匠である、誰よりもサッカーを知る人間が、「僕と同様に」と。。。この本には、そんなオシムの名言・格言がまず山のように収められています。
数学者になろうとまでしていたという知性と、ユーモア、サッカーへの愛。そして、崩壊した祖国ユーゴスラビアでの経験。彼は旧ユーゴの最後の代表監督であり、内戦の最中、妻子と2年半もの間会うことも出来ずに過ごしたという。その監督人生、考え方、言葉。面白かったです。素直に。今、日本サッカーにはすごい人が関わっているのですね。
ただ、若干。書いてる人の書き方が…惜しい。って感じです。いや単に好みの問題ですが。