リセット/北村薫

リセット (新潮文庫)
スキップ、ターンと来てこのリセット、で三部作完結らしい。三部作と言ってもそれぞれ関わりのある話ではなく、ただ、一貫したテーマが「時と人」であるというシリーズ。巻末に宮部みゆき北村薫の対談が収録されていて、そこで宮部が語っているのだけど、スキップもターンも、「時」が残酷だったんだ。根底を支えるのは「人」でありその優しさであったけれど、時の流れが理不尽な仕打ちをする、という一面が痛々しくもあって。それが、このリセットではもう少し優しくなる。ただ、「時」に逆らえず理不尽を感じながら巻き込まれてしまう前2作に対して、ここでは同じように抗えない「戦争」によって悲しい思いが生まれてる。
戦中戦後を生きたまじめな女学生の思い。戦後に生まれた小学生が、大人になり、父になり、語る思い出。ものがたりの軸は大きくはその二つで、それらが時空を超えて絡み合う、という感じだろうか。獅子座流星群や、キーになるさまざまな本との出会いなどのエピソードはこの作家らしくて好きです。中原淳一の絵のかるたなんかも、女子はときめく感じ。
他もいくつか読みましたが、北村薫はこの三部作が一番力を感じる。秀作だと思います。個人的に。