2005-01-01から1年間の記事一覧

平面いぬ。/乙一

4編の短編集。おついち、って読むのですね。はじめさんだと思っていました。「はじめ」っていう短編がこの本に1つ入ってたし。 で、書き下ろしの表題作が一番よかったです。腕に刺青の犬を飼う女子高生。不幸なんだけど笑ってしまう、しかしせつない、とい…

マンション建替えの法と実務/太田知行・村辻義信・田村誠邦 編

この本には「同潤会江戸川アパートメントの事例に学ぶ」という副題がついております。大手デベに就職する後輩が、「江戸川アパートの建て替えについて超詳しい本があります!」と貸してくれたのでした。 内容は、そのまま、江戸川アパートを事例として分譲マ…

植田実の編集現場 建築を伝えるということ/花田佳明

植田さんとの出会いは同潤会アパート抜きでは語れない。これを卒論のテーマにしよう、と読んだ「同潤会アパート原景」(マルク・ブルディエ)は植田さんが創刊した「住まい学体系」の一冊であり、その後を網羅した特集の載る「都市住宅」は植田さんが編集長…

ある「小倉日記」伝/松本清張

ISBN:4101109028 芥川賞受賞の表題作含めた短編集。松本清張は推理小説と時代小説と現代小説?を書いている、らしいのですが勿論推理小説しか読んだことがなく。昨日の浅田次郎読本の中で、「(最近の)直木賞作家が芥川賞について語る」みたいな鼎談が載っ…

待つ女 浅田次郎読本/浅田次郎 朝日新聞社文藝編集部 編

父の本を借りる。浅田次郎の、エッセイだとか短編だとか書評(人が書いたモノ)、対談、自作紹介、年譜…今までの著作に入りきれなかったものを拾って、解説つけて、集めてまとめたもの。まあファンの為の「読本」だよな。サブタイトルそのまま。40歳くらい…

燃えつきるまで/唯川恵

5年付き合って、結婚の約束をした彼に突然の別れを告げられる30代・仕事に頑張ってる女性が主人公。最初はただ単純にショックで、受け入れられなくて、体調を崩して…それが相手の男性に、すぐに結婚を意識する新しい彼女が出来たと知って、歯車が狂い始める…

なんで本を読むのかというハナシ

自分の中での初めての読書ブームは小学2年生だったはず。「若草物語」を読んで、本は面白い、と知った。小学校の図書室の本を借りられるのは確か3年生か4年生からだったので、それまでは図書室に行って読むのと、学級文庫というの、あとは親の本棚で。貸…

明るい旅情/池澤夏樹

こちらはエッセイ。旅にまつわるもろもろの総集。いや。最近、池澤夏樹ブームですっかりハワイに魅せられており。あと音楽繋がりでブラジルに惹かれており。教授の思いつきでベトナムで盛り上がっており。ああー旅したいなあ、というところで読んでしまった…

花を運ぶ妹/池澤夏樹

奇数章は妹カヲルの一人称。偶数章は兄哲郎の独白形式。交互に語られて物語は進む。筋書きは結構ディープだ。ヘロイン所持で異国の地バリで捕まった画家の兄は、現地警察の実績主義のためのフレームアップ(捏造して事件を大袈裟にしている)によって、思い…

バビロンに行きて歌え/池澤夏樹

ISBN:4101318115 池澤夏樹週間、いや月間は続く。だって面白いのだもの。好みなんだものー。 今度は小説。内戦続くベイルートで派閥闘争に巻き込まれ、国外脱出を図ったひとりの少年が、まったくの異国日本で傷つきながらも生きていく。という。密入国者であ…

母なる自然のおっぱい/池澤夏樹

すごいタイトルだよね。いやいいんですが。中身はノンフィクション。幾つかの雑誌に書いた文章をまとめたもの。でもテーマは一貫している。「自然」と「人」だ。正直、小説と比べたら読むのに時間がかかった。でも時間をかけた、とも云いたい。面白かったの…

本を貸す

人に本を貸すのはホントに難しいことだと思っていて。音楽ならまだ、何かの作業中に流しておくことも出来るし、今だったらパソコンに落として、後で楽しんだりというのもあるけれど、本って時間を割いて読まないとならない。 食べ物に近いかと思う。好き嫌い…

新聞小説

今度はじまる新聞小説は池澤夏樹だっていうんだから、そりゃ嬉しい(あ、読売新聞です)。

老人とカメラ 散歩の愉しみ/赤瀬川原平

赤瀬川老人が日本全国津々浦々で撮り貯めた写真の中から、ちょっとおかしい、ちょっと侘び寂びを感じさせる、ちょっとちょっとちょっとー!だったりするものを掲載。それぞれに短いコラムがつく。コラムというか。なんかもうショートショートというか。完結…

南の島のティオ/池澤夏樹

池澤夏樹による児童文学、らしいけれど、大丈夫、大人向けでもある。南の島(ポリネシアのある島がモデルらしい)で暮らす少年ティオが主人公の10の物語。島の婆の予言めいた言葉や、神様の怒りだとか、大人には頼らない違う島の少年エミリオだとか、ああ…

カイマナヒラの家/池澤夏樹 写真・芝田満之

ハワイの写真が挟まる、短編小説集。短編というか、すべて同じ人たちが主人公。ハワイの、あるひとつの大きな家で暮らす現地の人間ジェニー、ロビン、サム。たまに日本から訪ねるサーファーの「僕」。それにまつわる人々とハワイの話。 ハワイではなくハワイ…

天切り松 闇がたり 第三巻 初湯千両/浅田次郎

待ってました、の3巻目。時代はだいたい震災直前、東京が最もモダンで華やかで粋だった(と個人的好みで思っている)時代の盗賊一門のお話。小気味よい江戸弁の啖呵に毎度すっきり。情景描写も楽しいし。人情モノです。ほろりとさせます。理屈はいらないの…

夏の朝の成層圏/池澤夏樹

ISBN:4122017122 読み終わりましたー。こんな本も書くのですね。小説処女作だそうで。すごいな。話は単純と言えば単純です。マグロ漁船から夜中に振り落とされた主人公が、なんとか太平洋の無人島にたどり着き、そこで生活を始める。無人島だと思っていたの…

真昼のプリニウス/池澤夏樹

ISBN:4122020360 池澤夏樹2冊目ー。火山学者の女性が主人公。海外を放浪する写真家の恋人からの手紙。医者である弟の友人で、代理店勤務の口の巧い男。などなど。主人公が深く研究している火山が、浅間山なので、ところどころに現れる北軽井沢の描写。よく…

上り坂下り坂/青木玉

青木玉さんのエッセイ。いろんな媒体に発表されたのがまとめられています。ココロ洗われます。母・幸田文没後10年で考えたこと。思い出。4代に渡って住み続けている小石川の描写。草木自然への思い。ゆったりしたうつくしい言葉。巳年・年女のときの年賀…

優柔不断術/赤瀬川原平

なんで池澤夏樹とか青木玉とか浅田次郎とか書いてて先に赤瀬川原平か。って、ワタシの読書は2冊以上の併読というのがよくあるからですな。はい。というわけで今鞄には文庫が3冊入っている。無駄に重いです。 赤瀬川さんは、藤森照信氏の「ニラハウス」の施…

文庫購入というか入手日記

読書記録とずれてきたぞ?まあいいかー。←B型 本日、池澤夏樹2冊購入。大学生協書籍部にて。ああ、なんてステキなんだ大学生協。1箇所しかない文芸書棚の品揃えが、ホントにかなりつぼ。1割引もありがとう。そして父が「天切り松」(浅田次郎)の最新刊…

はてなとmacは相性が悪いのですかね

よくわからないのですが。はてなダイアリー、たまにレイアウトが崩れます。あとテキストが欠けて表示されます。macで見てると。「手に取った久しぶりの 理子」なんて欠け方されると打ち損じたのだったかナンだったのかわりません。自分でも。macと言っても相…

初夜/林真理子

池澤夏樹を探しに本屋に行ったのですがなくって。でも今日は買うつもりだったから本を持ってないな…なんでもいいから、一冊。と活字中毒の性で手にとった久しぶりの林真理子。短編集です。ほぼ全部30代後半から40代の女性が主人公。で不倫てのが必ずまとわり…

スティル・ライフ/池澤夏樹

ISBN:4122018595 初・池澤夏樹。あああー。知らなかった。好きな感じだった。ずっと前から知ってる名前だったのに。ああ惜しい。とか言っていないでこれからだだだ、っと読んでしまいそうです。 静かだけどなんだか瑞々しい。「ぼく」とつかみ所のない友人「…

元気が育つ家づくり?建築家×探訪家×住み手/仙田満, 渡辺篤史

中身は意外と面白かったです。建築家仙田満氏による住宅をいくつか取り上げ、「建築家による住宅」について、例の探訪家渡辺さんと、それぞれの住み手さんが対話していく。建築家に頼むと高い、勝手に作品にされちゃう、などの誤解?を解きたい、と仙田さん…

肉体の学校/三島由紀夫

ちくま文庫で読む三島文学作戦の1冊。(作戦だったのか?)。とりあえず新潮と筑摩の三島の差はわかってきましたよ。ちくまの方が断然軽くて読みやすいですよ。新潮は純文学。単純な分類ですみません。 これは「年増園」と皮肉られる独身女性3人の会合から…

ことばの食卓/武田百合子

ISBN:4480025464 ワタシの周りでちょっと前にひっそり流行っていた?武田百合子さんの随筆短編。初めて読みました。とても素敵な文章。って陳腐だな。もっと、こう。なんて言えばいいのだろうか。すっきり、しっとりしている。じめじめではなく、日本語がと…

岬/中上健次

ISBN:416720701X 食べたことのない料理があったらつまんでみる。というノリで読んだことのない作家がいたら読んでみる。いや、そんなのホント際限ないのですけど。まあそれで中上健次。もっと古い作家さんなのかと勘違いしていたら、ワタシの親世代でした。…

クレーン男/ライナー・チムニク 文・画 矢川澄子 訳

そもそも、いしいしんじを知ったのは第8工場http://www.fac8.com/のゆうこさんが紹介してくれた「プラネタリウムのふたご」から。そしてまたゆうこさんから、いしいさんが好きならば、と教えてもらったのがこれ。クレーン男。 筆者本人による線画の挿絵が素…