母なる自然のおっぱい/池澤夏樹

母なる自然のおっぱい (新潮文庫)
すごいタイトルだよね。いやいいんですが。中身はノンフィクション。幾つかの雑誌に書いた文章をまとめたもの。でもテーマは一貫している。「自然」と「人」だ。正直、小説と比べたら読むのに時間がかかった。でも時間をかけた、とも云いたい。面白かったのだもの。素直に。
自然がいかに雄大で崇高で素晴らしいかと謳うのではなく、かといって人類による自然破壊や地球の危機を声高に叫ぶのでもなく、もっと根っこのところで、自然と人とはどういう関係を持っているのかについての本だ。すっきりした視点で、わかりやすいし、情緒過剰だったり非難過多だったりしないから、素直に読める。理解を促す話の持って行き方もうまいのだと思う。
アイヌブッシュマンの知恵、人類というもの、アメリカの実験・バイオスフィア2に関する「ガラスの中の人間」、旅をすることについて、川について、山についてetc.。なんというか、言葉ではうまく説明できませんが、そうか、そうなのか、と思える。良いです。(今、酔いです、と変換されて少し凹んだ)