真昼のプリニウス/池澤夏樹

ISBN:4122020360
池澤夏樹2冊目ー。火山学者の女性が主人公。海外を放浪する写真家の恋人からの手紙。医者である弟の友人で、代理店勤務の口の巧い男。などなど。主人公が深く研究している火山が、浅間山なので、ところどころに現れる北軽井沢の描写。よく行く土地が出てくるというのは、それだけで興味深い。
派手さはないし、わかりやすい起承転結でもないけれど、恐らくは30代で、ちゃんと自分の足で立っている芳村頼子というこの学者が、きちんと描かれていて、気持ちがよい。小説としてそれぞれのエピソードがきちんと必然性を持ち、繋がる。上手な感じがイヤミじゃない。
というわけで引き続き気に入ったよ。池澤夏樹。無条件に友人に勧めたいかというと、それは違うのだけども。