肉体の学校/三島由紀夫

肉体の学校 (ちくま文庫)
ちくま文庫で読む三島文学作戦の1冊。(作戦だったのか?)。とりあえず新潮と筑摩の三島の差はわかってきましたよ。ちくまの方が断然軽くて読みやすいですよ。新潮は純文学。単純な分類ですみません。
これは「年増園」と皮肉られる独身女性3人の会合から始まる、恋愛小説。39歳バツイチ、しかし華族?出身の美人主人公妙子が、21歳の千吉という美男子に惚れ、彼を自分の物にし、愛し合い、そして…という。年増園の友人信子は映画評論家、鈴子はレストランオーナー。
三島さんてばどうしてこんなに裏を暴くのが好きですかね。妙子の心境の変化、駆け引き、思い込み、失策、行き過ぎ、惨めな思い、そして愛情、賢さ、悟り。描きますねえ。見事に。39歳バツイチ美人デザイナーの心情をそこまで…きっと、違うところもあるのだと思うのだよ。だって見事過ぎる。人間の恋愛感情はそんなに型にはまってはいないよー、とも思うんだけど、でもじゃあ、この場面でこれ以外にどう説明出来るというの?という描写が続くんだよなあ。いやもうその場面自体が三島文学なので当たり前なんだけど。千吉の方にもいろいろ思うのだけれど、女性が妙子に対して思いを抱く以上には何も語れませんわー。あーなんか痒くなった。どこかが。