岬/中上健次

ISBN:416720701X
食べたことのない料理があったらつまんでみる。というノリで読んだことのない作家がいたら読んでみる。いや、そんなのホント際限ないのですけど。まあそれで中上健次。もっと古い作家さんなのかと勘違いしていたら、ワタシの親世代でした。10年以上前に若くして亡くなられていますが。
初期短編集らしい。ワタシが生まれた頃に書かれたらしい。作者の生まれた紀州・和歌山での農村の閉塞的な人間関係の息詰まり感と、作者が出てきた土地であろう東京の、これまた行き場のないやるせない空気。それぞれの話に、どうしても暴力がつきまとうのは時代性なのだろうか。頭ばっかりの少年と、頭より身体を使う男たちが出てきますよ。当時の芥川賞もとったということで、何だか力は感じる小説なのですが、クレーン男のあとにこれじゃな…。ちょっと間違えた。美味しかったデザートのあとに、まずくはないんだけど、また胃にもたれるもの頼んで食べちゃった感(たとえとしてあってるか?)。