幼年期の終わり/アーサー・C・クラーク 訳:福島正実

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SFというと読んだな、というのは「アンドロイドは電気羊の夢を見るか」くらいで、あとは星新一のみ…スターウォーズですらまともに見たことない…のが今まででしたが、先日のJ.P.ホーガン以降、名作と呼ばれているものに関してはちょっと興味が出てきた。
幼年期の終わり」(原題:Child'shood End)も古典的名作といわれる一冊。J.P.ホーガンと同じく、異星人と地球人との交流が主題ですが、中身はもう全然異質。オーバーロード(上帝)と呼ばれた異星人は、あるとき突然地球に君臨し、圧倒的な科学力で地球に平和と統一をもたらす。ホーガンと比べて、というか小説の書き方として、かなり哲学的であるし、大部分をぼんやり描写するので、少々もやもやする。描かれるのは科学力の中身でも宇宙人との共存でもなく、地球人類と宇宙の巨大な摂理の関わり。人類の最終進化、存在意義のようなものに対して、クラークが用意したひとつの回答を小説化してみた、という感じだろうか。
イントロの描き方はかなりわくわくさせられたのですが、読み終えてみると、そのわくわく感は持続せず…。しかし奥深い小説でした。