天国はまだ遠く/瀬尾まいこ

天国はまだ遠く (新潮文庫)
前々からちょっと気になっていた、現役国語教師という若い女性作家さん。気になっていた、程度だと文庫で読みたかったのだけど、全然出てないんだよな。これは昨秋に出ていたのをたまたま発見。うっすい文庫です。
まあ、ある意味、思ってた通り。平易でやわらかく、でもすこし今時な空気の文章で綴られる、若い女性が主人公の小説。会社員生活に挫折して、逃げ出した先の田舎で、自然の圧倒的な力のようなものに触れて、何やらを取り戻す…という、もーどんだけ単純なんだよ、という筋書きだし、主人公の女性は同じ女として、たぶんあまり仲良くなれなさそうなタイプだし、と、こきおろしそうに書いてますが、けっこう読めた。なんだろうな。一歩間違うと、つまらない。でも踏みとどまっていて、柔らかな文体や衒わない描写が意外としっくりくる。出てくる人間がどうこうじゃなくて、人間そのものの描き方が上手なのかな。