ドバラダ門/山下洋輔

ジャズピアニストとして著名な山下洋輔の祖父は、山下啓次郎という建築家です。明治〜昭和初期のひとで、明治期に全国に作られ始めた近代監獄の設計者として知られてる。いや一般的に、ではなく近代建築に詳しい人たちに、ですが。私が「山下洋輔=山下啓次郎の孫」を知ったのは、藤森照信さんの建築探偵本だったかと。
「ドバラダ門」は、祖父が建築家だったことを初めて知った山下洋輔が、祖父とその仕事について、自分の両親、親族の話や家に残っていた記録、また山下家のふるさとでありこの本の大部分の舞台でもある鹿児島で調べたり、藤森照信を含む研究者らに教わったことなどなどをもとに書きおろした半フィクション的私小説
山下洋輔の祖父山下啓次郎は帝大出の建築家であり、その父房親は西郷隆盛にも縁があった薩摩出身者。細かな関係など丹念に調べているのでしょうが、本の内容はかなりはちゃめちゃ。山下洋輔自身がタイムトリップしてみたり、曾祖父房親の時代の出来事を創作して架空の人物も登場してナンセンスな展開へ… ところどころ正直疲れて読み飛ばしてしまったのですが、啓次郎の設計した鹿児島監獄の取り壊し決定を知り、何か出来ないかと現地の研究者や大学生ジャズバンドとイベントを企画するくだりや、啓次郎が研究のため訪れた欧米各国の監獄を、海外ツアーのたびに訪ねる話など興味深かったです。
鹿児島刑務所は現在その門だけが現地に残されているそう。見てみたいです。

Wikipediaに詳しくありました
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%B1%B1%E4%B8%8B%E5%95%93%E6%AC%A1%E9%83%8E

ドバラダ門 (新潮文庫)

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