王家の風日/宮城谷昌光

学生に借りました。中国時代モノ。600年に及び栄えた古代中国の国、商(殷)王朝の最期を描く歴史小説宮城谷昌光を初めて読んだのですが、力強く物語りを紡ぐ、というのと違って、作家主観での調査の結果が反映されてるような文章が不思議でした。歴史書ではこうなっているが、実はこうだったのではないか、と語りつつ解説するというような。中心となるのは商王朝最期の王である受王(紂王)と、王の伯父にあたる宰相箕子だけれど、全く出てこない章もあったり、物語の進行と関係ない気もしなくはない、受王の行った非道な刑罰が細かく語られたり、宮城谷氏が自由に書いてる感じ。
それはなんでなのかな、と思っていましたが、あとがきと解説を読んで、宮城谷昌光という作家が、「漢字」そのもの、その成り立ちに思い焦がれるあまり、文字を発明したとされる商王朝に興味を持ち、研究書を読み、最期には亀甲文字の解読までしながらこれを書いた、というのを知り、いろいろ納得いたしました。

王家の風日 (文春文庫)

王家の風日 (文春文庫)