吉原裏同心(七)枕絵/佐伯泰英

あら。今回も道中モノです。でも前回のタイトル「遣り手」が、その後のものがたりの発端としてラストまできっちり繋がっていたのに対して、今回の「枕絵」(春画)は読み切り的な話の題でした。あ、旅に出る前に、同郷の出で、幹次郎らが長屋を世話した甚吉が、ご近所で同じ職場のおはつと結ばれます。一筋縄では行かせないのがいじわるな気もしましたが、めでたしめでたしでよかった。
後半は、汀女も加わって、松平定信寵愛の「お香様」を白河まで迎えに行き、江戸にお連れするという大仕事。追っ手を巻くために偽の船を出したりだとか、こまごま面白くはあるのですが、そもそも読んでいて、お香様が登場するのがだいぶ後半。ここからのページ数で江戸までお連れできるのか?と余計な心配しましたが、やはりちょっと後半が詰まり気味な感じで勿体なかったような。

枕絵 吉原裏同心(七) (光文社文庫)

枕絵 吉原裏同心(七) (光文社文庫)