吉原裏同心(四) 清掻/佐伯泰英

清掻(すががき)とは、ここでは吉原で奏でられる三味線のしらべ。広辞苑にも載っていました。「江戸吉原で遊女が張見世に出る時、その合図に弾いた曲」。その清掻きの名手、おまんが吉原から身請けされることになり…というものがたりに、吉原の事実上の乗っ取りをたくらむ新顔の同心らとの駆け引きが行われたりしております。山崎蔵人という悪役が、ほんとヤなやつでございました。(何口調?)
幹次郎は、新たに道場通いを始めてみたりして。これ以上強くならなくても、くらい負け知らずな主人公なのだけど。これでまた情報をとったりもしているようです。筋とは関係ないけれど、この幹次郎、気合いの一撃のときのかけ声が「ちぇーすと!」と言うんですよ。これ、ナンダ?とすごく違和感を覚えていたのだけれど、これも広辞苑によりますと
「詩吟・演説などの高潮した際に、聴衆から発する声援の掛け声。(主として明治期に使われた。鹿児島地方で使い始めたという)」
だそうです。知らなんだ。幹次郎と汀女は豊後国岡藩出身ですから、鹿児島方言を使っていてもいいってことかな。最初は言ってなかった気がするけど、どんなもんだろ。(調べてない)

清掻―吉原裏同心〈4〉 (光文社時代小説文庫)

清掻―吉原裏同心〈4〉 (光文社時代小説文庫)