吉原裏同心(一) 流離/佐伯泰英

ただいま実家の両親がはまっている佐伯泰英。ずらりと並ぶ本棚から(気に入るとひたすら買う&読むのは親譲り)吉原裏同心シリーズというの、2冊借りてきました。両親絶賛のテンポの良さ、キレの良さはなるほどという感じ。引き込まれます。
先日鎌倉まで往復した電車で読んで、移動があっという間でありました。

主人公は豊後国岡藩出身の神守幹次郎。幼なじみの汀女が借金のカタに有力者の妻となるも虐げられているのを知り、まあ駆け落ちをするわけです。この時代そんなことをすると、妻仇討ちというのが許されているもので、追われ続けることになり…この1巻はあちこちを転々と逃げる道中と、一度は追っ手を切り捨てる幹次郎の豪腕とを描写しつつ。逃亡の果て、江戸中期から後期にかけての吉原に落ち着く流れとなっております。
幹次郎、強すぎるよ、という突っ込みたい気持ちはあるけれど、爽快な活躍なのでまあいいか。文章がしっかりしていて、時代背景もきちんと書き込まれているのでするする読めます。幹次郎と汀女ばかりが詳しく描かれていて、ほかの登場人物についてはちょっと像がぼんやりしていますが、シリーズ1冊目じゃしょうがないか。吉原の風習や裏事情なども多く出てきて、飽きずに読めました。

流離 吉原裏同心 (光文社文庫)

流離 吉原裏同心 (光文社文庫)