日本語と外国語/鈴木孝夫

いろいろな切り口から、言葉と文化を解説してくれる一冊。
アメリカで「オレンジ色の車」と聞いたとき思い浮かべる色は?「Orange cat」では?…フランスで「黄色い封筒」と言ったときの「黄色」とは?…冒頭は「色」の話から。定量化出来ない部分で、辞書で覚えた知識だけでは太刀打ちできない「背後にある文化」の幅の多様さをさまざまな例で教えてくれる。虹は7色とは限らない、だとか。「赤毛」とか「黒砂糖」とか、確かにほんとに「赤」や「黒」じゃないものね。その幅や「見なす」レベルというのは万国共通ではないらしいのです。そんな話ばかりでなく、日本語の「漢字」が持つ、語学の道具としての強さのような説明は、とてもわかりやすく説得されたり。今のところ「外国語」は武器に出来ない自分ですが、世界の中の「日本語」は意識していたいと思いました。
この本は、よく読んでいる友人のblog(Cabina)で引用されていたことから気になっていて。スペイン語が堪能で、ただ得意、というだけでなく語学として探求してらっしゃる素敵なお姉さんであるこの方は、結局日本語についてもとてもこだわりを持ってらっしゃる…印象。なんとなく、で言葉を使わないイメージ。学生の論文を指導する立場となって、自分で書くのより更に苦しんでいる最近、ふと思い出して読みました。

日本語と外国語 (岩波新書)

日本語と外国語 (岩波新書)