髪結い伊三次ものの二冊目。話が面白く、人物も魅力的でよいです、このシリーズ。今回は大波乱あり、せつないのあり。八丁堀の同心不破との間に大きな亀裂が生じることに。幼なじみの死もあり、深川芸者の文吉ともうまくいかなくなるし、読みながら少々胸が痛くなる展開でございました。「菜の花の戦ぐ岸辺」の伊三次も文吉も、なんというか、いじらしいのだよなあ。
時代小説としてまとまってるように思うし、捕物帖というより江戸の市中の人間模様を綴る市井もの(というのか?)としても楽しめます。江戸っ子のべらんめい口調の会話描写も小気味よくて気に入っております。