アースダイバー/中沢新一

アースダイバー
著者は哲学や思想の人。東京を近世どころか古代まで遡って、沖積期洪積期の地形を地図にプロットしたものを元に語る東京論。都市史や建築史をやっていると、どうも人の手が入ってからの、遡っても太田道灌くらいの東京から考え始めてしまうのだけれど、勿論それ以前にもここに地面はあり、人が住み、祭祀を、農業を、漁業を営んでいたのだろうと。古代台地であった場所にはそこなりの、古代海であり湿地であった場所にもそこなりの地霊みたいなのがあるだろうと。
土地の持つ力をいろいろな要素から読み解く手法は、面白くはあるのだけれど、たまに強引。えええ、そう断言しちゃうの?みたいな持って行き方に何度か引っかかり(古来海であり歴史の浅い浅草≒アメリカ的論とか、やたらとセックスに繋げるとことか、マネーにマテリアルにマリアに森ビルのMとか、青山は死霊の台地であるという話から死=自由=ファッションに持ってくとか)。古代から現代まで引っ張ってくるんだもんなあ。無理矢理。都市を多面的に見るうちの一面、と思えばいい…かな…。
新しい視点は与えてもらえる。東京が、一気に「濃く」なる感じです。たとえば、新宿というまちには「乾いたところ」と「湿ったところ」は確かに両方ある気がする。そういう見方は面白い。