猛スピードで母は/長嶋有

猛スピードで母は (文春文庫)
これも文庫化待ってたぜーの一冊。そして解説まで読んで作者が男性なことを知る。勝手に女性だと思っていた。すごいね。サイドカーに犬、と表題作の中編(短編かな)2編の一冊で、前者は女の子(が大人になる)、後者は男の子(そのまま)が主人公。女の子主人公の時の女の子らしさはすごいよ。自然だ。
2編とも親の離婚が背景にあり。サイドカーはダメ父、出奔した母、そして愛人洋子さんとワタシと弟。猛スピードは母と息子。そして母の恋人が見え隠れ。
冷めすぎでもなく暑苦しすぎることもない人と人との距離感が独特かつ微妙で、しかもその距離がありありとわかる感じ。それが子供主人公で語られても、いやらしくない。
初・長嶋有ですがなかなか舌に合うお味でした。面白い。引っ掛からず読めた。次も読もう、ととても素直に思える作家、久しぶり。