パーネ・アモーレ イタリア語通訳奮闘記/田丸公美子
米原万理さんつながりで、親友であったイタリア語通訳の田丸公美子さんのエッセイ。米原さんに引き続きというか、この方の文章もとても面白い。小気味よい。イタリアならでは、イタリア人ならではのエピソード満載で、米原さんの描くロシア像のように、田丸さんの描くイタリア&イタリア人の鮮やかさと来たら。
マザコンが多かったり、女好きだったりのエピソードをその背景まで説明してくれたり。高級ブランドのデザイナーのほか、知っている建築家の名前もたくさん出てくる。イタリアはデザイン大国なんだな。傲慢な建築家Vと匿名で出てくるのは誰なのだろうと思ったり。エットレ・ソットサスが織部賞をもらったときのスピーチの訳はほんとに素敵。ほか、ご自分の通訳としての道のりなども読みごたえあります。
通訳に必要なのは、当たり前だけれど「日本語能力」を含む語学力であるのだなと思う。イタリア人が比喩で用いる聖書の表現を、その知識なしに訳すことは出来ないし、ある言語でのシャレやことわざをとっさに言い換えるのだって、語彙があってこそ。そんな一線の通訳の方のかく文章だから、面白くないわけないのかなと。
- 作者: 田丸公美子
- 出版社/メーカー: 文藝春秋
- 発売日: 2004/09/01
- メディア: 文庫
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