グランド・フィナーレ/阿部和重(文藝春秋掲載で)

グランド・フィナーレ
芥川賞受賞作ということで。…文藝春秋の中吊り広告で書かれてたような奈良の事件を予見!?なんて要素はないんじゃないかと思うよ。
ロリータ趣味の男がそれが原因で家庭と仕事を失って、それで…。という話ですが、たとえば伊尻とか沙央里とかいう名前で出てくるのに対してIとかYとかイニシャルで表される人物もいて、とか、彼らの会話で説明されるロシアやアフリカの悲惨さとかいう小細工に意味はあったのだろうか。
そーしーて。「わたしはよく、ある種の女たちから挨拶代わりに後頭部などを打たれるのだが…」なんつう文章。苦手なのですよ。妙な…自惚れ臭みたいなものを感じてしまい。うまく言えませんが。そういう主人公の人物像、というよりは作者がそういう男なんじゃないかと勘ぐってしまう。よろしくないですね。前に白石一文という作家にも同じ臭いを感じたことがあります…。というわけで個人的にはあまり面白くなかったでございます。