わたしいる/佐野洋子

小説…でいいのか。佐野洋子さんの、自叙伝的な部分もあるのだろうか、挿画もたくさんの一冊。こどもの体験、思い、想像。「あの頃はこうだった」ではないです。こどもの目線の、こどもに起こる出来事が短編で綴られる。あざとさなんて微塵もなく、なんだろうな、佐野さんの、いつもの「むき出し」な感じがやっぱり好きだと思って読んだ。
かべのしみが旅行かばんを持った男の人みたいで、見ているうちに、男が出てきて、蒲団の上を横切って行ったり。
そういうことが、本当にこどもの目を通して見ているように感じられる。…と私の文章で説明するとなんとつまらなく聞こえることか!解説は川上弘美で、そっちもよかったです。
佐野洋子さんは、いろんなことをこうして思い出させてくれる。」

わたし いる (講談社文庫)

わたし いる (講談社文庫)