1984年/ジョージ・オーウェル 訳:新庄哲夫

村上春樹を一気読みしたときに、話題になっていたジョージ・オーウェルの「1984年」。タイトルは知っていたけれど未読だったので、手を出してみました。実は読むのにかなり間空けて3ヶ月くらいかけてしまったあたり、最近は物忘れだけでなくて、本を読む能力も落ちてる気がひしひしと。

大きな戦争後の世界。人々は独裁政権の監視下におかれ(「テレスクリーン」で実際に見張られている)、反体制的な態度は即刻「思想警察」による逮捕に繋がる。ウィンストン・スミスなる中年男性が主人公。冴えない、くたびれた人物として描かれるのだけれど、そんな小市民な彼だからこその、普通の感情や欲望が、赤裸々。三部構成で、第一部では小説の世界に起きている状況…三大大国による拮抗した世界情勢、徹底的な監視と思想統制、慢性的な物資の不足、プロレと呼ばれる労働者階級などなどについて語られる。起承転結の起承まで。第二部は、承から転、か。ジューリアという若い女性や秘密の隠れ家、敵か味方かわからない人物などが登場する。第三部で、結。イヤーな持っていき方と終わり方なんだけれど、読まされる。付録もあります。小説の世界で使用が促進されている「新語法」についての、解説。こういうのも含め、もちろん小説で、フィクションなんだけれど、これでもかというくらい緻密に詰めてくるので、がっつりおなかにたまる感じです。
予備知識なく読み始めていたのですが、途中からネットで情報を得て、書かれた背景にまで思いが及んで初めてわかることもあったかも。今見返したら、Wikipediaにはあらすじから物語内の設定まで、全部書いてあるな…。

1984年 (ハヤカワ文庫 NV 8)

1984年 (ハヤカワ文庫 NV 8)

村上春樹きっかけで読んで、それでどう思ったというのは、ちょっとあるけれど、特にない。なんだそれ。いや、ここでうまく説明出来るような何かはない、かな。ぼんやりした像は見えたかも。