その街の今は/柴崎友香

4月に読んだ本まとめられてないけれどーーーー。ほっとく。
これもまた短いのを1冊。初柴崎友香。でも次はないかも。嫌いな文体ではないしテーマは好きなんだけど。
舞台は大阪。28歳独身女子が人生悩んだり合コン行ったりしながら生きている。彼女は、大阪の昔の写真を見るのが好きで、ひっそりとそれを集めている。昔といってもせいぜい戦前くらいの、おそらくは白黒写真に着彩した絵葉書あたりのイメージ。今いるここがどんなだったかを眺め、想像するのが楽しい、という思考はものすごーくわかる。私もそうだ。なのだけど、肝心の「小説」としてはあまり楽しめなかった。
「いま」の大阪の描写はとてもとても細かくて、歩いてる道の通行人の層についてや、放置自転車について、具体的な店名について、逐一説明される感じ。地名を出されてもわからないので、知らない地名から知らない地名までの距離感なんかも掴めない。大阪、殆どわからないので、それ読んで行ってみたーい♪となるかと言うと…、あまりならなかったのだ。だって普通なんだもの。
長々と書くのもあれだな。悩める主人公は結構好きなタイプの女子だし、親近感も湧くけれど、そこまでか。彼女の日常とちょっとした出会いと、昔の大阪の写真、だけをやんわり巡る短編、あまり手応えなく読み終えてしまった。解説川上弘美。たぶん、ものすごく勝手な解釈だけれど、川上さん、柴崎さんの小説をすごーく好き。というんじゃない感じがしてしまう解説でした。いや穿ちすぎか。

その街の今は (新潮文庫)

その街の今は (新潮文庫)