夕暮れをすぎて/スティーブン・キング/訳:白石朗ほか

最新短編集。待ち合わせ相手が遅れるよ、とメール連絡くれたときに立ち読みしていたので、そのまま購入。表紙は唐仁原さん。
S・キングをそれほど熱心に読んでるわけではないので知りませんでしたが、近頃短編は書かなく…書けなくなっていたそう。短編小説コンテストみたいものの審査員をしたことで、大量の小説に目を通し、そこから何か「書き方」を思い出した、という前書きがあります。後書きは、各小説の解説をキング自らが。先に後書きを読むのはマナー違反だとも。

「ウィラ」、私が思うキングらしい短編。長く待っているのに列車の来ない線路。鄙びた道に吹き渡る風が、見えそう。
「ジンジャーブレッド・ガール」は、そんなかわいいタイトルで、ゆっくりしたテンポで始まり。人間模様を描く系かと思わせておきながら、途中から坂道を転げ落ちる勢いで何これ何これうわー、と恐怖に煽られて…たまりませんわ。やめてよもう、と思いながら読まされました。
「エアロバイク」「パーキングエリア」も然り、7つすべてそれなりの水準で、さすがだなあと思いましたが、意外な空気もありつつ好きだったのは9.11をテーマとした「彼らが残したもの」。淡々と、静かに、あの事件がニューヨーク市民に落とした影がどんなものだったのかを垣間見せてくれます。

夕暮れをすぎて (文春文庫)

夕暮れをすぎて (文春文庫)