ぼくと1ルピーの神様/ヴィカス・スワラップ/訳:子安亜弥

映画の「スラムドッグ$ミリオネア」の原作だそうです。例によって映画を観ていないので、差については述べられません…。
舞台はインド。クイズ番組「十億は誰の手に?」で13問連続で正答して優勝し、賞金を手に入れる権利を得た18歳の少年は、貧乏で、孤児で、学のないウェイター。不正をはたらいたのではないかと怪しまれ、逮捕される。彼がどのようにして13の問いに答えることが出来たのかを、彼の口から聞くのは女性弁護士。1問目から12問目まで、奇跡が起きたその理由が12章かけて順々に語られるとともに、彼の人生が明らかになる。物語を進める仕掛けのようなものはすぐわかるので、ちょっとおとぎ話的というか、ミラクルが起こり過ぎるかな、と思ったのですが、語られる「インドの底辺のくらし」の悲壮さと相殺されて読み進めてしまった。
そして13問目にまつわる展開は、予想しきれず。最後まで普通に引き込まれて読みました。やっぱりおとぎ話なのですが、よく出来ている、という以上に、この主人公の少年に思い入れが出来てしまって最後のほうは一気読み。彼の優しさとしたたかさのバランスが絶妙なのだな。勿論かしこくもあるし、度重なる不幸はひどいものだけれど、「幸運の1ルピー」を持ってる。ハッピーエンドですよ。映画もちょっと観てみたくなったかな。(←いつも風呂屋ののれんですが)(←ゆ〜だけ)

ぼくと1ルピーの神様 (RHブックス・プラス)

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