フェルマーの最終定理/サイモン・シン/訳:青木薫

父に借りました。フェルマーの最終定理(初めてTeX記法を使ってみる):
「3 以上の自然数 n について、x^n + y^n = z^nとなる 0 でない自然数 (x, y, z) の組み合わせはない」

自分が初めてこの定理を知ったのはいつだっただろうかと考える。恐らく、高校か予備校の数学の授業。この本を読んで、数学者アンドリュー・ワイルズが証明を発表し、更に修正したのが1993〜1994年にかけてだと知る。私がこの定理を知った頃に、この問題は解かれていたのだなと。
もちろん、何100ページだかあるというその証明なんて理解出来ないのですが、この本はとても面白かった。「数学」そのものが歩んできた歴史をひもとき、ピタゴラスから、「0」の発見、「i(虚数)」の発見、素数の性質、完全数友愛数などなど、数学の専門家じゃなくとも、おそらく理系じゃなくとも、理解出来るよう、そしてその発見がいかに画期的であるのか、またその証明がいかに難しいことなのか…をかみ砕いて、でもわくわくするように語ってくれる。フェルマーの人となりや、その時代の数学者たちの生活ぶりも描き出し。
それらを踏まえた上で、フェルマーの最終定理の数学、数論の歴史上におけるその位置づけを示してくれており、ワイルズがその証明に辿り着くまでのドラマは否応ナシに盛り上がる。数学ってきれいなんだよな、美しい学問だったのだよな、としみじみします。
巻末には、いくつかの有名かつ美しい定理の証明が収録されています。ピタゴラスの定理の証明や、ルート2が無理数であることの証明や。

フェルマーの最終定理 (新潮文庫)

フェルマーの最終定理 (新潮文庫)

(…で思い出したのが「博士の愛した数式」。これを読んだのは随分昔ですが、小川洋子の執筆時の参考文献に、この「フェルマーの最終定理」が入っているそう。ググったら、小説中にも出てくるらしい。…記憶になく。そして「博士〜」を友人に貸しっぱなしであることも思い出した)