つむじ風食堂の夜/吉田篤弘

六本木のABCのベテラン店員さんのおすすめで、長らく売れ続けている密やかな名書…みたいな記事を読んだのだったか、テレビで見たのだったか。たまたま大学生協で見つけて手に取った。
月舟町という町の、つむじ風舞う交差点に建つ「つむじ風食堂」での出来事もろもろ。ちょっと洒落た洋食のメニューはどれも美味しそう。常連は帽子屋、果物屋、舞台女優と、「雨の先生」である私。オセロという食堂の猫は白黒。他にもいろいろ説明つけたいけれど、それぞれの生い立ち?であったり、職業そのものがエピソードの中心になったりするので、読んでるうちにわかるほうがいいかと。
ちょっと寓話的。ちょっとやさしい。ささやかで、寂れていて、乾いた空気感。

人は上るときにだけ階段をの数を数える。

と、さらりと書かれて、ああそうだね。と読んで。
絶賛か、というとそうでもないかな。ちょっと、いしいしんじに出会ったときのような衝撃を期待してしまったのだけれど、そんなこたなかった。読み終えてから知ったけれど、作者吉田篤弘氏はクラフト・エヴィング商會の人だった。これこれ。ああそうか。納得。着想は好みなんだけど、あと一歩、乗り切れないもの書かれてたわ。
http://d.hatena.ne.jp/ka_ya/20060129
うまく感想書けていませんが、面白いですよ。うん。好きか嫌いかと言ったら完全に好き。でも、好きだからこそ、物足りないのかなー。

つむじ風食堂の夜 (ちくま文庫)

つむじ風食堂の夜 (ちくま文庫)