都市の記憶を失う前に/後藤治ほか

工学院大学後藤先生の本領発揮本。もとは文化庁に勤めてらした、建築史の先生です。痒いところに手が届く。近代建築、歴史的建築、魅力あるあの建物はなぜ残せないのか。日本と諸外国では何が違うのか。そもそも、建築やまちなみを「残す」とはどういうことで、どんな制度が背景にあるのか。今後、どういう策が考えられるのか。
前半部分で、「欧米では」「ヨーロッパでは」と括って比較されるのは、どの国のどんな制度なのかもうちょっと知りたい…という感はあるものの、(というかそれは調べなさいよ>自分)、後藤先生ならではの諸外国に及ぶ広い知識・見識と、実際に携わってきた行政の問題点の整理、何が問題なのかをはっきり教えていただけて、しかもとても読みやすい。白揚社新書、って探しにくかったのが残念。たくさん読まれて欲しい一冊。

都市の記憶を失う前に―建築保存待ったなし! (白揚社新書)

都市の記憶を失う前に―建築保存待ったなし! (白揚社新書)