蒲生邸事件/宮部みゆき

後輩くんに何冊かおすすめを借りた中にあって、全く予備知識なしに読みました(裏表紙の筋書きすら読まず)。それで面白かったから、ここで感想書くと根本的な設定について触れないわけにはいかないので、どうしようかと思う…。。。

…それがイヤな方は、ひとの読書記録なんて見ないか。

というわけで、メインの舞台は昭和11年、1936年2月の東京。平河町あたり。2.26事件がまさに起ころうという中心地近くに建つ「蒲生邸」に故あってタイムトリップする高校生の主人公、という設定。SFは好きなほうですが、日本でタイムトリップかー、とつまずきかけましたが、さすが宮部みゆきで、疑う主人公と、その能力を持った登場人物の設定や考え方がしっかり書いてあるので、納得させられてしまい。タイムトリップ…(小説内では時間旅行、と言っているか?)という要素があるがために、起こる事件に二重三重の不可思議が加わってしまって、推理小説だとソリャナイヨ、ということになりますが、時代小説としても成立する描かれ方で、意外とすんなり読めました。はられた伏線に気づかなかった自分がむしろ悔しかったり(空襲のとこで!)。SF的要素+推理小説的要素+時代小説で、普通に面白くて、勉強にもなり。一気読みでした。終章、どうなるのかなあ、と思いましたが、そうか…そうでしたか。こんな経験したら、高校生は変わるだろうな。うむ。

あと、余談。2.26事件発生のさなかということで、主人公尾崎孝史はほとんど屋敷内に閉じこめられることになり、ちょっと歩いたのもいまの平河町三宅坂周辺だけ。電柱が多い…市電も走ってるから、電線も今よりよっぽど多く張り巡らされているだとか、ちょっと商店街の描写もありますが。あー ワタシがこの時代を歩けるならば、東京のあらゆる場所を巡りたいよ。関東大震災からの復興がようやく終わりつつあって、戦争でまた多くが焼けてしまう前の時代の建築と都市…。と、くだらない妄想も出てきたり。

蒲生邸事件 (文春文庫)

蒲生邸事件 (文春文庫)