ぬしさまへ/畠中恵

二冊目。短編がいくつか。前作ラストで話題に出て気になっていた、腹違いの兄「松之助」がきちんと描かれる。これまた優しい筆致で。三人称で書かれているのだけれど、一人称なひとりごとが普通に挟まれて、なんだか不思議な文章。ついつい引き込まれてしまうのはそのへんもあるのか。二人の手代や、父母、幼なじみの菓子職人栄吉のキャラクターや、妖たちそれぞれ、登場人物は皆結構魅力的なのも良し。
謎解きぽくなるのだけれど、途中途中ちょっと不親切な感じが惜しいかな。今回一番は、手代のイロオトコ仁吉の永遠に近い片想い話でしょうか。ちなみにこれドラマ化されてたのですね。仁吉は谷原章介だそうで…。なるほど。か。
あ、あとこの「柴田ゆう」さんの装画・挿画。すごく個人的に好きな絵か、といわれると違うのだけど(失礼)、この小説にはとても雰囲気が合っていて、良いです。

ぬしさまへ しゃばけシリーズ 2 (新潮文庫)

ぬしさまへ しゃばけシリーズ 2 (新潮文庫)