猫とともに去りぬ/ロダーリ 訳:関口英子

随分前に、おすすめされて購入していたものの、すっかり積まれたままになっていた1冊。
ロダーリ、って知りませんでしたが、国際アンデルセン大賞を受賞したこともあるイタリアの児童文学(だけでないみたいですが)作家だそうです。風刺の効いた、にやりとさせられるものがたりを集めた短編集で、面白かったです。なんというか、生活に疲れ、ちょっと倦んで、それならと猫になってみたり(猫とともに去りぬ)、ヴェネツィアが水没しそうだというので家族で魚になって暮らすことにしてみたり(ヴェネツィアを救え あるいは 魚になるのがいちばんだ)、バイクと結婚したがって家出したり(恋するバイカー)、人とそれ以外とか、有機物と無機物だとかの間に「境界線」なんかないでしょ、線なんて見えないでしょ、という感じがしました。のらりくらりと行ったり来たり。身勝手な人間様もたくさん出てきますが、それぞれ愛すべき人間様でもある。
光文社の古典新訳文庫の1冊。あー。実は未読のカラマーゾフの兄弟、この文庫で買おうかなやっぱり。

猫とともに去りぬ (光文社古典新訳文庫)

猫とともに去りぬ (光文社古典新訳文庫)