吉原裏同心(二) 足抜/佐伯泰英

シリーズ二冊目。ここからはじっくり舞台は吉原。足抜というのは、吉原の女郎が、年季を残して逃げ出すこと。脱獄…に近い雰囲気。相次ぐ雲隠れのような足抜の、謎解きと問題解決のために幹次郎と汀女が活躍ということで、「吉原裏同心」らしい働きぶりです。手がかり求めて千住宿や府中宿まで足を伸ばしてみたりも。深川の描写も多く、うちの近所も出てきて楽しい。
一冊目で影が薄かった仙右衛門や長吉、梅次といった味方の人物像は段々とはっきりしてきますが、うーん、幹次郎も汀女も含め、あんまり「絵」が浮かばないのだよな。映像化されてないという意味でなしに、吉原の光景はかなりはっきり描かれているのに、人物の中身はともかく「なり」がわからない感じなのが若干物足りないです。オモシロイのは確かですが。

足抜―吉原裏同心〈2〉 (光文社時代小説文庫)

足抜―吉原裏同心〈2〉 (光文社時代小説文庫)