チグリスとユーフラテス/新井素子

これも図書館本。いやー。新井素子、何年ぶりだろう。20…はいかないか、中3のとき(1990年頃)は読んでたものな。でも20に近い10数年ぶりだな。単行本での出版は'99年というからこれも既に9年前かあ。そうかー。いやでも、なんというか。あの、文体というか口調というか、は全く変わらず。ああ、新井素子だ、と、するする読めてしまって。相変わらず、わかりやすすぎる表現やステレオタイプな登場人物の、その裏、背後には、実はものすごく広い世界と真理が見え隠れ… そんな印象。
主人公…的なのはたぶん、惑星ナインに住む、地球からの惑星間移民の末裔であるルナ。末裔の末裔、最後の子供。その子供が、ある技術で過去からよみがえらせた(ちょっと違うけれど)女性たちとの関わりから、物語を進めて、惑星ナインの移民の歴史をひもといて、行く。物語の背後に見え隠れするのは、もしかすると人類終焉のひとつの見方、もしくは、母性…母なるものの、存在する意味。の、ような。そんなこと。物語は、ルナ以外の登場人物の目から語られる。マリア・Dみたいな人物、新井素子はよく登場させるよね、だとか…いやそれを言ったらダイアナも、トモミも、アカリも、リュウイチすら、全部、新井素子の書きそうなキャラクターだ。ルナは、ちょっと珍しいかな。それでも、ストーリー展開は予断を許さないというか、ちゃんと新しい。面白かった。そしてとっても新井素子ぽかった。ぽい、って変か。まさに新井素子。うーん。昔の、星へ行く船シリーズだとか読み返したくなった。図書館探そ。
そしてワタシはなんだかもう、ものの見事に文体が染まっている…ような気がします。
これを直すためにも今週末までの図書館本ラスト、川端康成をさっさと読まねば。

チグリスとユーフラテス 上 (集英社文庫)

チグリスとユーフラテス 上 (集英社文庫)

チグリスとユーフラテス 下 (集英社文庫)

チグリスとユーフラテス 下 (集英社文庫)