4時のオヤツ/杉浦日向子

いわゆる「老舗のお菓子」の紹介本なのですが、それぞれのお菓子ごとに、杉浦日向子の筆の冴えた戯曲のようなものがついている。友達、夫婦、叔母姪、恋人etc.のものがたりが、ほぼト書きと会話のみで、数ページ。浪花屋のかき氷とか、うさぎやのどら焼きとか。長命寺の桜もちとか、ほぼ東京中心ですが、たまに小布施の栗鹿の子なんてのも入ったり。
お菓子の写真が添えられた、甘かったり苦かったりする、ほんのちょっとのものがたりたちが、読む方のいろいろをそそるのです。おなかすく一冊。
巻末に登場するオヤツの店一覧が。「残念ながら閉店」とある数店、杉浦さんも空の上で悲しんでいるのだろうと。

4時のオヤツ (新潮文庫)

4時のオヤツ (新潮文庫)