青空の卵/坂木司

作家名と同姓同名の僕が主人公、ひきこもりがちな友人が探偵役の、ジャンルとしては推理小説。もっと、こう、「安楽椅子探偵」モノかと思っていたら、そうでもなく。ひきこもり鳥井は、人付き合いが下手で、精神的にもとても弱く描かれてはいるけれど、意外と外出し、坂木がいれば人ともコミュニケーションがとれているし。
生い立ちが波乱含みで、中学時代いじめられていた鳥井の、唯一の友人である坂木、というのが、社会人になってもほぼ毎日家に通い、励まし続けている。坂木も、鳥井に助けられている部分もありつつ。
…という坂木と鳥井が常識を超えて引っ付きすぎていて、最初ちょっとキモチワルイくらいであったが、そのキモチワルサは一応主人公たちにも自覚されていて、変でしょ、でもこうなんだ、と何度か繰り返し語られる。後段ではなんとなく納得して読んだけど、読後感としては、やっぱり大前提である二人の関係に違和感があるからか、スッキリしないなあ。いい話、が多いのですが、推理はちょっと性善説的かつ強引。

青空の卵 (創元推理文庫)

青空の卵 (創元推理文庫)