上海ベイビー/衛慧 訳:桑島道夫

「たちまち発禁処分を受けた中国の大ベストセラー」「ポルノか新人類文学か?」などとコピーのついた帯付きで友達にお借りした。日本でのこの文庫の発売は2001年だし、この煽りやらカバーやらは時代錯誤感が少々。
ココという破天荒な小説家の女性が一人称で語る、無気力な美形恋人天天と、妻子持ちドイツ人の愛人マークや友人たちとの上海生活。帯とタイトルと表紙だけ見て、「山田詠美?」と思ってましたが、読み終えてもそのまんま、濃いめの山田詠美な感じがいたしました。ココがものすごく自己肯定的だし、外人とのセックス好きだし(山田詠美ファンに怒られるな)。展開も表現も既視感が強くて、でもあえて文学にしようと足掻いているものの、残念ながらちょいと薄っぺらい印象。
よかったのは、上海という街の描かれ方。建物、通り、お店の混沌とした空気は伝わってくるし、勢いも感じる。秋の上海調査の予定が楽しみになってきました。

上海ベイビー (文春文庫)

上海ベイビー (文春文庫)