星を継ぐもの/ジェイムズ・P・ホーガン 訳:池央耿

星を継ぐもの (創元SF文庫)
SFの王道とされる一冊。設定は2028年(もうすぐじゃないか!)。月の裏側で発見された人間そっくりな、でも5万年前のものと思われる通称「チャーリー」の死体。「ルナリアン」と名付けられたこの種族と人類との関係を巡る謎解き。主人公的な「ハント博士」を中心として地球上のあらゆる分野の知識が総動員されて、ルナリアンの起源を、人類との接点を、解明していく。途中「ガニメアン」というまた異星種の存在を交えつつ、最後に繋がる一本の糸。
テンポが良くて、謎解きがいろいろな方向から進むので飽きない。70年代に書かれた「未来」なわけだけれど、今読んでも違和感はなく。チャーリーの手帳の解読、所持品の缶詰の魚の骨格etc.の解明から始まって、知りたい、解明したい、と思うことがわかってくるときの快感が小説の中で味わえる。SFだけど、ミステリでもあるなあ。
ここでは脇役だったガニメアンを中軸に据えた続編もあって三部作となっているらしいので、手を付けてみようと思う。