やわらかな心をもつ/小澤征爾・広中平祐
ISBN:4101228043
これも対談。小澤征爾と、世界的な数学者広中平祐。1976年、ボストンの小澤宅での二人と、あとプロデューサー萩元晴彦が進行役で加わりつつ進められた話をほぼそのまま掲載している。娘(小澤征良だ)が突然話しかけてきたりする様子もそのまま。
ふたりの初めての出会いは先日読んだ「ボクの音楽武者修行」に出てきていた。小澤がフランスで知り合った若い数学者が、のちにボストンに行ったときに出迎えてくれる。初めての土地でとても不安だったのが救われた…というエピソード。対談を企画した萩元は二人が旧知の間柄であることを知らなかったようで、そんな偶然のおもしろさ。
音楽と数学。やってることは全然違う二人だけど、若い頃から海外で一流のことをしてきたという体験の共通点もありつつ、それぞれ感じている仕事への思いだとか考え方、肉親の死だとかを語り合って。器用な感じがしてしまう小澤に対して、すこしおっとりして見える広中氏だけれど、話しているうちにその視点の鋭さに驚かされる。面白かった。そして感想をまとめにくい…。
この対談集、出来れば第2弾を出したい、ということがあとがきにある。その設定している年限はとおに過ぎているけれど、実現してくれたらいいのにと思う。